2017年8月30日水曜日
新井不二夫「歩いても歩いても被爆図の中」(第48回原爆忌東京大会)・・・
「第48回原爆忌東京大会作品集」が届いた。大会は去る8月19日(土)、北とぴあで行われ、記念講演は長谷川櫂。
作品集の大会選者の選句・選評を読むと、各選者の特選に選ばれている句はさすがになかなか良い。愚生も選者の一人なのだが、改めて見逃したなぁ・・・と思う句もある。花谷清選で「豈」同人の山本敏倖の作品がそうだ。
広島とヒロシマ忌とを行き来する 山本敏倖
その花谷清評には、
広島在住であっても、なくてもよい。〈広島=地名〉と〈ヒロシマ忌=八月六日〉を〈行き来する〉のは、空間としての〈広島〉と時間としての〈ヒロシマ忌〉との間を、現実に、あるいは、心の内で、いくたびも往還するのであろう。
と述べられている。良い評だと思う。
そして、「豈」でも何人かの選者がいる。池田澄子特選は、、
夏雲や骨に名前は書いてない 大川竜水
川名つぎお特選は、
ホモ・サピエンス歩き続けてヒロシマ忌 山中西放
因みに愚生・大井恒行の特選句は、
敗戦忌日の丸に戦争がこびりついてゐる 林田ぶし
ともあれ、以下に大会賞入選作品を上げておこう。
歩いても歩いても被爆図の中 新井不二夫(東京都知事賞)
八月や生き残ることは語ること 丹生幸美(現代俳句協会賞)
八月の空を描ける彩がない 小林万年青(第五福竜丸平和協会賞)
往った子も座っています花むしろ とみながのりこ(東友会賞)
黙禱を捧げふたたび草を刈る 屋代 明(東京新聞賞)
こみあげて六日九日天の蟬 柏原秀子(全国俳誌協会賞)
また一つ老いて八月の祈りかな 曽根新五郎(新俳句人連盟賞)
ひまわりのてっぺんに棲む爆死の子 飯田史朗(平和を愛する俳人懇話会賞)
0 件のコメント:
コメントを投稿