松本余一第二句集『ふたつの部屋』(俳句アトラス)、序は林誠司。その中に、
三句目(愚生注:〈別れても別れても三椏の花〉)、「別れても別れても」という表現は「三椏」の姿であると同時に氏の人生模様をも表現している。 単なる写生とは一線を画す人生風詠の姿勢を見る。人生風詠は人生を直接詠むというより、森羅万象と自分の人生との共振れを起こすことによって生まれてくる。「もの」と「われ」との共振れである。それだけに人生の出来事を直接詠う境涯俳句より、豊かな詩情が得られると言えよう。
とある。また、著者「あとがき」の中には、
俳句の五七五は生活のリズム、季語は生活環境、詩情は生活のゆとり。ひとつになって見えてくる。リズムは韻を踏む言葉、季語は四季のめぐりあいという具合に時間の経過につれて離れ難い友のようである。
とあった。ともあれ、愚生好みになるが集中よりいくつかの句を挙げておきたい。
海鳴りに向かつて丘の麦を踏む 余一
てのひらが包まれてゐる春日かな
ひとひらにまたひとひらのさくらかな
うららなり眠るも死ぬも眼鏡とる
風鈴や買ふとき風に好かれたる
死ぬために長生きしてる通し鴨
ゲルニカの馬にたづねよ八月来
白い秋妻が孤独を教へたり
にげるよりもぐるをえらぶ冬籠
海見ゆるところと決めて旅始
松本余一(まつもと・よいち) 昭和14年、東京都小金井市生まれ。
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芽夢野うのき「名はしらねども浅き春とて白き花」↑
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