2022年2月7日月曜日

松本余一「春銀河回転木馬跳ねたまま」(『ふたつの部屋』)・・


 松本余一第二句集『ふたつの部屋』(俳句アトラス)、序は林誠司。その中に、


 三句目(愚生注:〈別れても別れても三椏の花〉)、「別れても別れても」という表現は「三椏」の姿であると同時に氏の人生模様をも表現している。 単なる写生とは一線を画す人生風詠の姿勢を見る。人生風詠は人生を直接詠むというより、森羅万象と自分の人生との共振れを起こすことによって生まれてくる。「もの」と「われ」との共振れである。それだけに人生の出来事を直接詠う境涯俳句より、豊かな詩情が得られると言えよう。


 とある。また、著者「あとがき」の中には、


 俳句の五七五は生活のリズム、季語は生活環境、詩情は生活のゆとり。ひとつになって見えてくる。リズムは韻を踏む言葉、季語は四季のめぐりあいという具合に時間の経過につれて離れ難い友のようである。


 とあった。ともあれ、愚生好みになるが集中よりいくつかの句を挙げておきたい。


   海鳴りに向かつて丘の麦を踏む      余一

   てのひらが包まれてゐる春日かな

   ひとひらにまたひとひらのさくらかな

   うららなり眠るも死ぬも眼鏡とる

   風鈴や買ふとき風に好かれたる

   死ぬために長生きしてる通し鴨

   ゲルニカの馬にたづねよ八月来

   白い秋妻が孤独を教へたり

   にげるよりもぐるをえらぶ冬籠

   海見ゆるところと決めて旅始


  松本余一(まつもと・よいち) 昭和14年、東京都小金井市生まれ。



★閑話休題・・大井恒行「現代俳句講座」(府中市生涯学習センター2022年度第1期、教養・生活実技講座)募集中!!・・


 府中市生涯学習センター・2022年度第1期(4月~6月)教養・生活実技定期講座、第一次募集、2月1日(火)~2月28日(月)。


・申し込み方法 ①府中市生涯学習センターのウエブサイトから応募。

        ②往復はがきによる郵送。

        ③来館しての直接申し込み。

・問い合わせ先 183-0001 府中市浅間町1-7

        府中市生涯学習センター 4~6月定期講座募集係

        電話 050-3491ー9849

        東府中駅から徒歩17分、府中駅から「ちゅうバス」多磨行 「生涯学習センター」下車。

・開講日 4月7日(木)、21日(木)、5月12日(木)、26日(木)、6月16日(木)5回。受講料は4000円。定員15名。



      
芽夢野うのき「名はしらねども浅き春とて白き花」↑

0 件のコメント:

コメントを投稿