本日、10月30日(日)午後1時~は、主管・府中市俳句連盟の第58回府中市民芸術文化祭俳句大会(於:市民活動センター「プラッツ」6F)だった。特別選者の野木桃花に実に久しぶりにお会いした。当日句会の席題は、「鳥渡る」「鹿」であった。ともあれ、事前投句の結果を以下に少し紹介し、各選者(アイウエオ順)の特選句のうちの一句ずつを挙げておきたい。
市内1位 秋耕の畑の膨らみ風渡る 安田俊朗
市内2位 廃校の錆びた鉄棒盆踊 米山千賀子
市内3位 饒舌な風の来ていゐる軒風鈴 島﨑栄子
市外1位 送り火の果てたる闇の重さかな 吉沢美佐枝
市外2位 風止みて手持ち無沙汰の猫じやらし 相馬マサ子
市外3位 芋の露風がさらってゆきにけり 野木桃花
(秋尾敏選) 緑蔭や渇いた風で身を拭う 松本秀紀
(岡本久一選)皺のない涙拭ふや広島忌 島﨑栄子
(倉本倶子選)野路の秋木々の影踏みけんけんぱ 濱 筆治
(佐々木いつき選)薄墨で書きし便りや秋深む 庄司知英子
(清水和代選)ケチャップの蛇行ざくりと残暑なり 田中朋子
(池原光夫選)鶏頭のギラギラと空燃やす 新保徳泰
(野木桃花選)虫の声増して寡黙の父と娘と 高木暢夫
(星野高士選)死ぬまでは酒止められぬ生身魂 笹木 弘
(松川酔水選)学習田稲架高だかと夕日浴ぶ 小高歌子
(山崎せつ子選)饒舌な風の来てゐる軒風鈴 島﨑栄子
(吉田 功選)朝練の掛け声響く秋の浜 杦森松一
(笹木 弘選)敬老日昭和の染みの日章旗 山中とみ子
(米山多賀子選)満開の花野で箸を置くつもり 保坂末子
(大井恒行選)ふる里のかて飯こはし敗戦忌 青柳 惠
明日の色決めかねている牽牛花 岡﨑ひさ子
あの根のね這い出た根にね黄のキノコ生え 濱 筆治
当日句席題の愚生の特選句は、
岩山を鹿軽軽とケーブルカー 砂川ハルエ
★閑話休題・・大井恒行「秋青空ウィズコロナウィズ核」(毎日新聞2022・10・30「季語刻々」より)・・
今朝の毎日新聞朝刊/坪内稔典「季語刻々」に、愚生の句が載っていると、教えてくれた友人がいる。思えば、坪内稔典は、半世紀以上前、彼が「日時計」を創刊し、愚生はそれを注文して読んで以来、ずっと、彼の歩みを見てきた。愚生にとっては、いまだに、彼の著書『過渡の詩』である俳句形式という認識であるし、現代俳句の歩みは、彼なくしてあり得なかっただろうと思う。そういえば、伊方原発(もちろん,愚生は反対だが)の地、坪内稔典は、大本義幸とともに四国佐多岬出であった。