2022年2月3日木曜日

有賀眞澄「糸を吐く少女が消えて残る月」(『愛密集』)・・

          


 有賀眞澄句画集『愛密集』(虹蜺舎)、著者「あとがき」には、


   あすみまかる拠って一夜さひとよ霧

 「あすみまかる」は有賀眞澄のアナグラムである。

 因みにもう一つの「あまがみする」は

   夜は反復期はあまがみする反射

 「明日身罷る」、「甘噛みする」の二つしかできないアナグラムからからそれぞれそれ以外ない作品ができた。従ってこのふたつは自己の自己性の根拠をあぶりだした代表句である。世間に通用しなくてもいいのである。名前のアナグラムには必ずその人のオリジンの一面を写し出すものである。それは今までひととなりを知る友人のアナグラムをつくってきて確信してゐる。霧の中一尺一寸一分の一節切が霧笛のやうに月気を吐く反復と反射のひとときを呼吸せられよ。


 とあった。ともあれ、集中より、いくつかの句を挙げておこう。


   むらさきへうぶでおぼろでまる裸       眞澄

   か変かなかなこよなくも来よ濃むさき

   御湿りでござんすこくり花魁草

   素足に手ぶら五人少女のフラフープ

   冬銀河ピアノはまこと打弦なり

   爪先の有心無心月天心


有賀眞澄(あるが・ますみ) 1950年生まれ。



芽夢野うのき「如月の凍れる鳥に呼ばれてけり」↑

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