2014年8月22日金曜日
酒井弘司「月光に乗って星の子部屋に来る」・・・
酒井弘司といえば、愚生らの年代には、目標にされた世代であり、そのころ愚生らが「三コージ」と呼んでいた俳人らがいた。すなわち大岡頌司、酒井弘司、安井浩司である。ただし、酒井弘司本人は本名の「ひろし」に拘っているらしい(坪内稔典も長く「としのり」に拘っていたが、今やネンテンと自認している)。
その、サンコージのひとり、弘司の第八句集『谷戸抄』(ふらんす堂)が上梓された。平成20年から25年の作品から372句を収録したという。昭和13年8月、長野県生まれだから、愚生よりちょうど10歳上だ。いわゆる60年安保の世代である(愚生は70年安保世代)。旅の句も多いが、やんぬるかな、友を送った句が多くなってくるのもやむを得ないのかも知れない。
松永伍一さん逝く
伊那谷を蟬の声聴きゆきしことも 弘司
花びらで送る前登志夫・小川国夫
六月来る樺美智子のことは言わず
清水昶さん逝く
花うつぎ待たずに友のわかれかな
村上護さん逝く
共に歩きし大洲の街よ蟬を浴び
あずさ友見さん逝く
常念岳へ飛んで夏蝶もう見えぬ
津軽じょんがら寺山修司も跳んで冬
酒井弘司はかつて「ユニコーン」に所属し、「海程」の創刊同人。平成6年に「朱夏」を創刊、主宰している。『谷戸抄』からいくつかの愚生好みを句をあげておこう。
青葡萄友より長く生かされし
十二月坂を登ってそうおもう
この星のいのちはいくつ春立てり
戻れぬ春対岸は3・11以前
人も馬も光に斃れ青山河
焦土いま光の中に青山河
気で行こういっしょにあるく九月の木
モミジアオイ↑
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