2017年2月15日水曜日

山口可久實「善悪を/わきまえぬ木が/さくらです」(『天の道』)・・



山口可久實『天の道 多行俳句+写真』(書肆未定)、1930年、岡山県生まれ。後書ふうの文に、

 俳句をはじめて30年余り「未定」に所属してからも20数年。俳句鍛錬会で高原耕治は高柳重信の言葉「俳句表現は省略ではなく神のごとき統一である」を紹介した。身を置いているところは間違っていないと確信した。

とあった。愚生は、20歳代が参加の条件だった「未定」の創刊同人の一人だが、現在、創刊同人は一人もいなくなってしまったが、「未定」は高原耕治を軸として持続し、近年、多行俳句に特化した同人誌として再出発を果たした。いかにも同人誌らしい純粋化を達成したのである。
本句集は、句のほかに写真が片ページに入っている。そこに登場する人物は、山口可久實の子息・山口健児である。大野一雄の弟子だった、その舞踏を何度か観たこともある。
『天の道』より句のみであるが、以下に少し紹介しよう。

  天上に
     
    空気草履の
     
       音がする             可久實

  少女来て
   蟹の鋏を

    使いけり

  原爆忌
    バービーちゃんに
       HOTOがない



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