2015年1月2日金曜日
坂東孫太郎「老いが身の妻恋ふ鹿となりにけり」・・・
坂東孫太郎(源五郎とも。本名・輝一)は、「第124回遊句会出席の翌日/平成25年10月18日、急逝。/最後の句会では、翌月の句会のために左記兼題三つを残す。/兼題=冬の蠅・日脚伸ぶ・芭蕉忌」と遺句集『坂東孫太郎句集』(遊句会・平成26年10月発行)に記されている。
もとより、愚生は一面識もない。初めて耳にする名である。
愚生の手元に贈られてきたのは、40年ほど前からの知り合いであるシャンソン歌手・石原友夫からである。
「賀状にかえて」の私信には「四十年来の友達で俳句の師でもあった男が一年前永眠しました。一周忌に句集を作り、縁の方々に配布しました。下町の材木屋の伜で年から年中ジーンズを着て。五十歳で広告代理店コピーライターを辞し、文筆活動へ。いつしか小説より俳句の方が面白くなったようです」とあった。
その遊句会の面々19名の追悼の献句も巻末に併載されている。因みに石原友夫の献句は「月を背にままよままよと押しとほし」である。
その坂東孫太郎、朝日俳壇などいくつかの新聞俳壇、NHK「俳句王国」、俳句大会などにも投句されていたようでる。大会特選句もあった。
「一杯やりながら、わいわいやりましょう」の「遊句会」は今も続いているらしい。
ともあれ、句集から好みのいくつかを拾って以下に挙げ、愚生も冥福を祈りたい。
嗽して小さな虹を吐き出せり 孫太郎
満開の桜残して廃校す
銀ぶらの鳩居堂前甘茶仏
ぼけてなほ老母とぼける万愚節
孫が子が犬が許さぬ寝正月
大振りも小振りも湯気の衣被
六十を六粒として年の豆
太陽がまだ許さんと今日の秋
老いが身の妻恋ふ鹿となりにけり
ロウバイ↑
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