亀井千代志第一句集『スマッシュ』(ふらんす堂)、序句は石田郷子、
スマッシュに文月の鷹を見し思ひ 郷子
また、集名に因む句は、
追羽子のスマッシュそれを返しけり 千代志
であろう。また、著者「あとがき」には、
本書は、椋俳句会に入会した平成十八年から、平成三十一年(令和元年)までの、十四年間の句から、ニ九一句を収録したものです。(中略)
収載句の多くは、国立市の矢川緑地、谷保・城山公園、そして飯能市の名栗を吟行し、句会で切磋琢磨して成ったものです。繰り返し同じ場所に立つことによって、季節の移り変わりとそれに伴う小さな変化や人の営みを感じとることができるのは、何より幸せなことです。
とあった。ともあれ、集中より、愚生好みに偏するがいくつかの句を挙げておきたい。
はばたけるもののかたちに氷かな
白がやや多きとおもふ梅林
父、介護有料老人ホーム入所 二句
春日よく入りけふより父の部屋
窓の辺に母の遺影やうららけし
石なのか亀なのかいま鳴きたるは
くちびるに春の焦げたる匂ひかな
竹皮を脱ぐお手伝ひしませうか
夏の日に褪せて学校かはら版
秋草のばいばう鳥居のみ真つ赤
贋物をつかまされさう年の果
亀井千代志(かめい・ちよし) 1983(昭和38)年生まれ。
撮影・鈴木純一「いいひとで終ってみるか猫じゃらし」↑
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