「新・黎明俳壇」創刊号(黎明書房)、年2回刊(3月、9月)を予定しているという。これまでシニア向けだった「黎明俳壇」をリニューアルしての刊行。「編集後記」には、
『特集 橋本多佳子vs鈴木しづ子』といった特集を組み、俳句とエッセイも増やしました。サイズをA4判からコンパクトなA5判に変更し、ページ数は65ページへと大幅に増やさせていただいております。なお今回から書店でもお求めいただけるようになりました。
とある。特集記事の「鑑賞は、気鋭の若手俳人7人です。7人にお願いしたことは、多佳子としづ子の伝記によらずに、多佳子としづ子の俳句の言葉に即して鑑賞していただくことです。なお、多佳子としづ子の俳句の組み合わせは、武馬久仁裕がおこないました」と記されている。以下の句は、(多=橋本多佳子 vs し=鈴木しづ子)
泣きたけれど朝顔の紺破るべし(多)vsコスモスなどやさしく吹けば死ねないよ(し)
寒の星落ちて情死をいそぎけり(多)vs寒の夜を壺砕け散る散らしけり(し)
死はそこに深夜の林檎戛(かつ)と割る(多)vs実石榴のかつと割れたる情痴かな(し)
雪の日の浴身一指一趾愛し(多)vs湯の中に乳房いとしく秋の夜(し)
雪はげし抱かれて息のつまりしこと(多)vsまぐはひのしづかなるあめ居とりまく(し)
初蝶や一途に吾に来るごとし(多)vs凍蝶に蹤きて日陰を出でにけり(し)
以上の一句鑑賞のメンバーは、赤野四羽・なつはづき・廣島佑亮・福林弘子・松永みよこ・村山恭子・山科誠。愚生よりはるかに若い人たちだから、鑑賞のイキがよい。他にも、連載読み物、クロスワードパズル、絵と俳句など盛り沢山の企画・・・興味のある方は直接購読されたい。ここでは、巻末の武馬久仁裕選「黎明俳壇」から特選句を紹介しておこう(一句目のみ選句評も)。
いじめられませんやうにと星祭 名古屋市 日比達夫(第16回)
七夕の星に願いを込め短冊にしたため孫を思うおじいちゃんの
優しい気持ちです。言霊のこもった言葉ですので「いじめら
れませんやうに」はひらがなになっています。
遮断機に母は向こうに秋曇 西尾市 杉山三枝子(第17回)
秋麗古道具屋は異邦人 安城市 小林徳子(第18回)
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