2015年9月9日水曜日
鳥居三朗「日の中の鵙の村なり澄みにけり」(『てつぺんかけたか』)・・・
鳥居三朗、第4句集『てつぺんかけたか』(木の山文庫)、1940年愛知県吉良町生まれ。
波の来て海のひろがる吉良忌かな 三郎
愚生が初めて鳥居三朗に会った時は、「童子」の頃の懐かしい名、鳥居三太だった。もうずいぶん以前のことになる。「童子」が創刊されて間もない頃であったろうか、綺羅星のように有望な人たちがいた。それらの中で、彼の独特だった第一句集『小林金物燃料店』は面白かった。
三太改め三朗になってもその親しみは変わらなかった。今では、歴とした「雲」の主宰である。
本集では、第一にオノマトペの作家だと印象した。もちろん、日の光も加えて・・。
というわけで、愚生好みの句に、オノマトペの作をいくつか以下に挙げておこう。
波に浮くひとゐて沖は晩夏かな
さよならを云はずに春の逝きにけり
ぶらんこの子どもは雨に何かいふ
月に添ふ星に住みたる我らかな
正月をうつらうつらと京都まで
ふるふる西のあふみのたびら雪
ぐるぐるぐる田螺の道のつづきをり
七月のはじめぶらぶら手をふつて
秋麗の鳩のふんふん歩みをる
双六のもどつてもどつて休みかな
くしやくしやにまぶりて春の帽子かな
大阪のかんかん帽の男かな
つるつるのかほしてゐたる蝗かな
買初の水をしくしく飲んでゐる
ぎざぎざのはうれん草に日の沈む
夏鶯きよつといふなり雨になる
おほばこの花のちりちり鳴りはじむ
つぴつぴが来てゐる森の青葉かな
鴨の水脈するする伸びてゆく光
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