「現代俳句」9月号は「第70回現代俳句協会賞 渡辺誠一郎特集」である。不明にして、愚生は今年度の現代俳句協会賞受賞者を本誌によって、遅ればせに、初めて知った。
選考委員評を読むと、順当に仲寒蟬『巨石文明』、対馬康子『竟鳴』、渡辺誠一郎『地祇』が残ったらしい。どうやら対馬康子『竟鳴』は決戦投票で4対3の一票差で受賞を逃している。
ともあれ、渡辺誠一郎に祝福を送ろう。
久しぶりに受賞者の年齢が少し若くなった感じだ。
「受賞のことば」には、
このたびの受賞を励みに、今後はおのれの存在を凝視して詩想を深め、「地祇」のごとく目線を限りなく低くしながら、不器用ではあるが、地に足をつけた世界を綴って行きたいと思っている。
とある。目指すべき方向は定まっているのだ。期待して、さらなる展開を待ちたいと思う。とはいうものの愚生自身の体たらくを何とか自ら励まさなければ・・・
渡辺誠一郎(わたなべ・せいいちろう) 1950年宮城県塩竃生まれ。
影の数人より多し敗戦忌 誠一郎
父の日の父の仕方で米を研ぐ
地の底に行方不明のさくら咲く
東京に子猫のような余震くる
死んでなお人に影ある薄暑かな
タデ↑
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