岡田恵子第5句集『ハーブ系』(山河叢書34)、著者「あとがき」の中に、
此の二年間のコロナ禍で世の中は大きく変わった。人との接触も思うように叶わず、今までに無く私も在宅の日が続いた。以前はヨガの訓練でインドへ、NPO活動でネパール、芭蕉の足跡行脚、四国八十八所遍路と、旅をしながら句を作ってきた。コロナ禍で旅もできなくなり、句作も変わらざるを得なくなった。普段の生活の中での気付きや新しさの模索は、感覚に頼ってきた私には難題だったが、訓練を余儀なくされ、新しい視野の発見に繋げてくれているのかも知れない。
第三句集は東日本大震災の年だった。あとがきに、地震国日本が持続可能な社会へ舵を切ったと希望を持って書いた。第四句集では、遅とそて進まぬその政策に苛立っていた。そして現在、地球温暖化タオ策としての脱炭素社会に向けて世界が動き出した。日本はその対策の一つとして原発を組み込み始めた。コロナ前まで、毎年友人の住む福島を訪ね、復興への果てしない歩みを目の当たりに見てきただけに落胆している。希望の持てる未来を願っている。
とあった。この伝でいくと、著者は、先月24日から始まったロシアのウクライナ侵略戦争に、たぶn、胸を痛めておられるであろう。ともあれ、以下に、愚生好みに偏するが、いくつかの句を挙げておきたい。
湘南のとぼける波や春立てり
午後のティー青き秋思に刃を入れる
坂上がる月の奴隷になっており
夏の河ヨガの聖地に火の匂い
コロナ禍の鎮守の森のかたつむり
蟇気合いの臀部動かざる
新米食むシベリア帰還兵の兄
みかん山伊方原発稼働せり
九条の麻酔が切れる冬の海
ドローンの下の密会秋の空
岡田恵子(おかだ・けいこ) 1954年、香川県生まれ。
撮影・中西ひろ美「花終るもうすぐ了るとてやさし」↑
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