2017年4月1日土曜日
尾藤三柳「乱世を酌む友あり酌まむ」(「子規新報」第2巻60号より)・・
以前にも触れたことがあると思うが、「子規新報」の長期連載のなかで宇田川寛之「となりの芝生ー短歌の現在」、堀本吟「近くの他人ー現代川柳論」というのがある。その双方の記事で、田島邦彦と尾藤三柳と墨作二郎の三人の訃に接した。柳人の尾藤三柳と墨作二郎には一度だけお会いしたことがある。墨作二郎には「現代川柳・点鐘」を恵まれていた。
田島邦彦には、けっこう会っていた。同人誌の「解放区」がでないな、と思っていたら、そうだったのかと唸った。彼には幾冊の書も恵まれていたが、なかでも、三枝昂之との共編のアンソロジー『処女歌集の風景ー戦後派歌人の総展望』(ながらみ書房・1987年刊)はボロボロになりながらも座右にある。何時だったか、寺山修司についてのインタビューをお願いしたこともあった。その時、愚生が府中に引っ越したばかりの頃で、近くにある府中刑務所で定期的に短歌指導をされている話を伺った。記事によると昨年12月3日に死去され、享年76。愚生よりたった8歳上にしか過ぎない。まだまだ惜しまれる年齢だ。
一方、尾藤三柳は昨年10月19日死去、享年87。墨作二郎は昨年12月23日、享年90。こちらはいすれも天寿を全うされたという感じだ。
以下にそれぞれの作品を記事より孫引きさせておもらう。
ひと夏の猛暑に堪へて身体は不確実なる具体となれり 田島邦彦
一輪車うまく操りゆくならば決して絶望などはありえぬ
はじめに言葉ありて よごれつづける 尾藤三柳
医者は医者の言葉で 余命を考える 墨作二郎
S字結腸でした夫婦別姓でした
やがて水くらげの旅 安心はそれくらい
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