2019年7月29日月曜日
滋野さち「『戦争は嫌だ』と言える令和かな」(「川柳スパイラル」第6号)・・
「川柳スパイラル」第6号(編集・発行人 小池正博)、特集は「現代川柳の縦軸と横軸」、論考は、藤本秋声「京都柳檀と革新の歴史」、桒原道夫「『川柳雑誌』発刊までの麻生路郎」。
前者の藤本秋声の論について、門外漢の愚生の無知ゆえに、とりあえずの結社・団体などの離合集散について、概略を知ることはできたが、その離合集散の歩みが、どのような理念のもとに、あるいは、戦前であれば、支配権力との対応などによって、つまり何によってもたらされたのか、その原因がうまく愚生に届かなかったのは残念だった。またべつのチャンスを待ちたいと思う。
小池正博「川柳を届けるということ」では、「重版出来」に「じゅうはんしゅったい」とあったが、愚生が書店員だった頃は、「じゅうはんでき」と言っていた(時代も変わったものだ。昔は、版元・書店でのやりとりは、パソコン・メールなどもなく、営業マンと直接に電話などだったので、「しゅったい」はたぶん発音しにくかったから、現場では使われなかったのだろう)。大量でなくても少部数でも「重版」は重版だった。それが短期間で行われれば、「たちまち重版」という宣伝文句にもなっていた。もちろん大量の場合は○○刷(すり)と言い、例えば、5刷(ごずり)、10刷(じゅうずり)ともなれば、まあ、ベストセラーに近づく・・というような感じだった。ともあれ、一人一句を以下に挙げておきたい。
「前向きに」と言われ回転椅子回す 滋野さち
エステサロンに白雪姫の遺灰 森山文切
精液が菩薩になってゆく 無外 くんじろう
いちごみるく風味にハグされる舌 八上桐子
利が在ると言われてみんなの気が揃う 石田柊馬
見送ってブルーグレーが残される 一戸涼子
パンダにもなれる朝焼けにもなれる 畑 美樹
握ってもさすっても地味な指 小池正博
このことはフリーズドライしておくわ 浪越靖政
万博にPを忘れる大奇術 川合大祐
いいピアノですね死体も隠せるし 飯島章友
撤回もせずに桔梗の青だった 清水かおり
印鑑をかざすと消える遊園地 悠とし子
閲覧できます毛羽立った文字が並んでいる 湊 圭史
マトリョーシカな日曜参観 兵頭全郎
ほかにイベントのチラシが入っていた(写真上 ↑)。9月28日(土)15時~17時「現代川柳と現代短歌の交差点」(於:梅田 蔦屋書店店内4Fラウンジ)、司会は小池正博、パネリストは、岡野大嗣・なかはられいこ・平岡直子・八上桐子。参加費1500円。主催:梅田蔦屋書店、共催は港の人。川柳の応募などがあり、問い合わせは、主催の蔦屋書店 umeda_event@ccc.co.jp
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