2019年7月18日木曜日

生駒大祐「手が触れてゆきことごとく片影に」(『水界園丁』)・・・



 生駒大祐第一句集『水界園丁』(港の人)、2008年から2018年の約10年間の作品を収める。著者「あとがき」に、

 その間に幾度か雨が降り、晴れわたり、時には雪が降りましたが、「俳句を書き、論じることで俳句に貢献する」というスタンスはあまり変わっていないようです。 

 とある。 章立ては、最近の句集には珍しく「雜」の章があり、それも、「冬」から始まり「春」と「夏」の間に「雜」が挟み込まれている。最後は「秋」。ともあれ、以下にいくつかの句を挙げておこう。 

  真昼から暗むは雨意の帰り花       大祐
  ひぐまの子梢を愛す愛しあふ
  金澤の睦月は水を幾重かな
  新潟に近くて雪の群馬かな
  あらはるる二つの川も春の川
  日の沈む音の聞こゆる梅見かな
  シュワキマセリ水中のもの不可視なり
  暇すでに園丁の域百日紅
  憧れて秋となる夏鳩時計
  雁ゆくといらだつ水も今昔
  抜く釘のおもはぬ若さ雁渡る
  水中に轍ありけりいなびかり

 生駒大祐(いこま・だいすけ) 1987年、三重県生まれ。


★閑話休題・・阿部青鞋「永遠はコンクリートを混ぜる音か」(「阿部青鞋研究」第二期第一号より)・・


 妹尾健太郎は「青い鞋にー第二期の開始にあたって」で、

 青鞋の号は、山路に暫しの休息を終えた者の再起を意味する。
『俳句の魅力 阿部青鞋選集』刊行前後(平成五年~十年)に「阿部靑鞋研究」という小冊子を六号まで手作りした。それから二十年という歳月に茫然とする。

 と記している。「第二期は年に二~三号は出していきたい」ともいう。この第二期のパンフのようでもある冊子は、全国のコンビニでネットプリントすることができるのだそうだ。一枚に広げるとA3用紙の大きさである。なかなかのアイデアである。
 本号の執筆陣は、西川由野「靑鞋一句」、内藤羊皐「原初の水」、小川義人「靑鞋が愛した美作➀」である。ちなみに、便宜のために、奥付を以下に記しておきたい。

 「阿部靑鞋研究会」(発行者・妹尾健太郎 Twittr HN  羽沖、発行所・北千住出版、印刷所セブンイレブン他、270-0001 松戸市幸田3-133-8 妹尾方)


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