2016年3月10日木曜日
笹木弘「一本が火種となりし曼珠沙華」(「東京広軌」平成27年度作品)・・
かつて「広軌」(昭和44年創刊)という雑誌があった。同人誌で、その誌名が示すように、硬派の雑誌だったという印象のみが残っている。『現代俳句辞典 第二版』(「俳句研究」別冊)によると、「有季定型の伝統派から無季容認の前衛派に及ぶ幅広い同人構成は、第10号の成田千空に始まった『百句シリーズ』とともに本誌の特色といってよい。このシリーズには永田耕衣、三谷昭、平畑静塔、鈴木六林男、鷹羽狩行、森澄雄、金子兜太、横山白虹など五四作家が登場」とある。
詳しいことは愚生不明にして、よくは知らない。手元の誌はその名「東京広軌」(東京広軌俳句会)からして、その関連にある同人誌だ思われる。掲載されている作品とエッセイを読むと相当高齢の方も多くいらっしゃる。90歳を超えている方も数名、80歳代はまだまだ元気の様子である。ひたすら俳句の縁につらなり、俳句を作ることが生きがいという風なのである。
現在、代表者は佐藤晏行。埼玉越谷市から発行されている。以下に一人一句を挙げるが、佐藤晏行のみは、同送いただいた「『窓』作品集・第7集」からも加えて一句。
因みに、笹木弘は、愚生が、シルバー人材センターでの仕事でお世話になっている府中グリーン・プラザでよくお会いする府中市俳句連盟の代表者である。
敬白のあとに団扇の句をひとつ 佐藤晏行・「窓」より
竹夫人並ぶ藝大資料室
花八ツ手朝は再びここにあり 住 落米
白桃を浮かせて水が若くなる 岡田淑子
敗戦日ひと部屋にいててんでんこ 保坂末子
菊坂のたがのはずれた暑さかな 松本秀紀
生きてゐる目覚のひとつ虫しぐれ 水本ひろと
波と来て腕のかたち夜光虫 山口紀子
秋天やキリン時には横座り 相沢幹代
餡をほめ器をほめて柏餅 大川竜水
戦前と気軽に言うな蛙喰う 金子未完
しんがりになりたくなくて蟻に列 鍬守裕子
ぷかりぷかり不老の予感冬至の日 坂上武夫
一本が火種となりし曼珠沙華 笹木 弘
狐火の点火装置が見つからぬ 栖村 舞
手美人の母手造りのよもぎ餅 髙橋たん滴
梅雨晴れやこの日を何につかいましょ 髙橋洋子
病める国ありて世界の春浅し 直井芳枝
神木のうしろはすでに枯れの音 星野一惠
雨の日もよろしやろとて山笑う 金子みさ
四月馬鹿八十八のクラス会 川西茜舟女
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