2016年2月28日日曜日

川澄祐勝「春泥や盲ひし母を曳く手替へ」(『四季を楽しむ』)・・・



川澄祐勝(かわすみ・ゆうしょう)、昭和6年、埼玉県秩父郡皆野町生まれ。
平成元年以来、別格本山高幡不動尊金剛寺貫主。
俳句は「先代秋山祐雅大僧正から『坊主の嗜みとして俳句位やれ、自分で実際に見たこと、感じたことを素直に詠め、自分の句に徹することが大切だと』と教えられましたので、今も写生句が中心になっています」(あとがき)という。
『四季を楽しむ』(六大新報社)は、仏教系新聞「六大新報」に平成25年7月から2年6か月にわたって掲載された句をまとめたもの。各見開きのページには10句と左ページの3分の2ほどにカラー写真が施されており、それぞれの句を読むこともさることながら、写真を眺めるだけでも飽きない。
現在の季節に発表された句をいくつか挙げさせていただこう。

   秤目をつぶさには見ず若布売         祐勝
   梅紅し白しなんでもござれ市
   末黒野(すぐろの)を駆け来し犬に嗅がれけり
   応へなき去来の寺の春障子(金戒光明寺)
   洲浜草添へある震災募金箱
   風鐸の暁より鳴りて彼岸西風
   本降りとなるまで寺のほうほけきょ




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