2016年2月2日火曜日

羽村美和子「匂うにおう寒月光かセシウムか」(「連衆」no.73)・・・



「豈」同人でもある羽村美和子が第56回口語俳句協会賞を受賞した。
掲出の句は、受賞作「碧揚羽」のなかの一句。「豈」とういう雑誌は、受賞者の顕彰もなかなか行わず、お祝いの会を企画もせず、まったく怠惰な同人誌なので、こうして他誌で、取り上げていただくと恐縮しながらも、ああ良かったな、と思うのである。その羽村美和子は「豈」の財政を担当し、赤字体質の「豈」を何とかしようと会計係としても奮闘していただいている。他の句も参考までに挙げさせていただく。

    人体に火薬の匂い百舌高音       美和子
    抽選で軍艦当たる宵の春
    美しい数式次から次へ羽化

そして、「連衆」には最近、川村蘭太というすこしばかり向こう見ずな御仁が同人に参加されて、にわかに活気づいている様子である。愚生の知っている川村蘭太は、川村宣有貴(義之)として愚生が「俳句空間」を成り行きで編集していた頃、鈴木しづ子の評伝を連載してもらっていた。当時、かれは黒澤明のもとで鈴木しづ子の映画化に奔走し、その過程でしづ子の未発表作品も入手されていた。愚生は『コスモスなどやさしく吹けば死ねないよ』(鈴木しづ子伝)と題して、その評伝をワイズ出版から出そうというところまでこぎつけていたが、愚生の力不足もあって頓挫したのだった。それを先般、その名も川村蘭太と変えて『しづ子ー娼婦と呼ばれた俳人を追って』(新潮社)を上梓したのだった。そして、いま、「連衆」東京句会を立ち上げて、第一回句会を新潮社別館で開催したらしい。興味のおありの方は「連衆」NO,73に5ぺージにわたって詳細が掲載されているので、是非ご一読あれ。
ここでは、そのかがやく第一回目の句会参加者の一人一句を高点順に以下に紹介しておきたい。

    鯛焼きが落ちてきそうな避雷針        谷口慎也
    (まばた)く抽斗の犬はアンダルシアの犬  川村蘭太
    三島忌や午後のかたちをしてコップ      鳥居真里子
    水平線そっと剥がせば冬の海         吉澤信彦
    ハロウィーンな京落雁茶の笑い        増渕幹男
    寒鰤が師匠の魚ならかぶりつけ        富樫鉄火
    負けさせて祝儀の弾み熊手市         山中幸子
    ヒト堕ちる黄葉はめぐる埒もなく        宮崎千呂 

そうそう、最後に気鋭の俳人・竹岡一郎の招待作品の中から・・・

    雪闇が人形の孔なべて挿す        竹岡一郎
    あのころ鷲ならばあまねく引き裂いた



                 ビワ↑

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