2016年11月13日日曜日

横山康夫「遠まなざし波消しに波限りなく」(「円錐」71号)・・



                                       左・澤好摩 VS 右・山田耕司 ↑

「円錐」71号は、創刊25周年記念号である。本日はアルカディア市ヶ谷において「円錐」創刊25周年記念の集いが行われた。午後は「討論・名句はどっちだ!」という句合わせで判定を行うという趣向だった。討論の対象にされた句は5組。右句(下記では一句目)には、山田耕司がその理由と推挙の言を、左句(二句目)には同じく澤好摩が賛意の意見を述べ、会場からもそれぞれの応援演説s者を指名するという趣向だった。
例えば、5組目の「どっちが、名句だ」には、

  一満月一韃靼の一楕円    加藤郁乎
  秋の航一大紺円盤の中    中村草田男

参加者・判者の顔ぶれから、しかも郁乎句については、高柳蕗子の強力な応援演説があって、圧倒的に名句の判定には郁乎に軍配が上がってしまった。もっとも、二句を比べて、俳句における新しみ、完成度、俳句史の上にもたらされた衝撃度において草田男句が追いつく理由は見当たらないのはやむを得ない。
それはともあれ、各句合せにおける山田耕司が句を評する際の語りには、その話しぶり、その譬えといい、句にまつわる評価のありどころを、公平に示してみせる手腕は、参加者を楽しませ、納得させるだけの説得力があって、退屈をさせない見事なものだった。
愚生は、諸事情あり、夕刻より行われた懇親会には残念ながら出席できなかった。
それでも遠路馳せ参じた横山康夫、樋口由紀子、さらに中里夏彦に久しぶりに会えたのは嬉しいことであった。
ともあれ、「円錐」71号の句を読む特集「俳句トス」に挙げられた句を以下に掲げておこう。

   君はきのふ中原中也梢(うれ)さみし      金子明彦
   倒れしは一生涯のガラス板           桑原三郎
   夏みかん酸つぱしいまさら純潔など      鈴木しづ子   
   この聖夜まがひものこそうつくしき       御中 虫
   


   
   

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