2018年3月20日火曜日

きむらけんじ「辛夷見上げてあねいもうと老々介護」(『あしたも世間はややこしい』)・・


 
 きむらけんじ『あしたも世間はややこしい』(象の森書房)、写俳エッセイとあり、表4側の帯の惹句に、

 ボケばっかりでは話にならん。/世間にツッコミまくる64編と最新自由律40句/同時掲出。/読めばますますややこしい。

とある。見開き2ページの右ページに自由律俳句作品一句、左ページ上段に写真、下段にエッセイで版面が構成されている。中の一篇を以下に紹介しておこう(写真は除く)。

 南の風吹く島の婆さんYouTube
 
 YouTube、のんきにやってる場合ではないのである。
地球温暖化の影響で、昨年なんと三重県ほどの大きさの
氷山が南極大陸から分離して漂流し始めたらしい(英国地球温暖化プロジェクトMー
DAS)
三重県が、誰も手付かずの状態でへらへらしているのである。
狭い島国、うさぎ小屋の国民としては、
それなんとかならんのか!?なのである。
日本の優秀なゼネコンに頼んで、
アロンアルファの親分のよーな凝固剤で固めて
四国沖くらいまで引っ張ってきて日本新島にすればよいのである。
でないと、そのうち中国あたりがものすごい軍事費を使って
東シナ海あたりまで引っ張ってきて「これワシの島。近づいたら拿捕!」
と言い出さないともかぎらない。
もう大成建設に、頼めばよろしい。
たしか社のスローガンは、「地図に残る仕事」
だったと思うけど。ゲボゲボ。

以下に、他の句のみだが、いくつか挙げよう。

   きょう会った男と鳥葬の話      けんじ
   戦争のこっち側で種蒔いている
   逃げてきたのは星のきれいなだけの村
   梨食う梨の水の重さを食う
   目覚ましの鳴らんとするを見つめており
   間違いだらけの人生石投げている

著者の「はじめに」に、

  百年余の歴史を持つ自由律俳句の行く末で、いまや絶滅危惧的匂いのする自由律俳句拡大のためとは言え、ややこしい俳人が妙ちきりんな本を出して四苦八苦している様子を先人はどう見ているのか、と考えると恥ずかしいような気にもなるけれど。
しかし、もうそんなこと知ったこっちゃありません。
 
と書いている。
 ところで、先ごろ、愚生に届いた「自由律俳句協会設立準備事務局」(代表幹事・新山賢治)の案内書によると、「設立準備会及び懇親会」が、来る3月24日(土)15時より行われるらしい(会場はイセ文化財団・懇親会は18時から別会場)。愚生は、いまだ働かざる者食うべからずの輩で、しがない当日は勤務に当たっているゆえ、参加はできないのだが(この日は現代俳句協会の総会でもある)、興味のある方はお問合せ下さい(アドレスは、shinyama@k-grit.com、電話090-4375-5028)。



撮影・葛城綾呂↑


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