「川柳スパイラル」第5号(編集発行人・小池正博)、特集は「ジャンンルの交差点」。執筆者は瀬戸夏子「Twitterと定型詩」、山口勲「語り手の声が聞こえる詩」、佐々木紺「BL俳句とBL読みについて」。瀬戸夏子は、
Twitterは定型だし、もう充分、意識していようがいまいが、定型詩として書いて(しまって)いる人はたくさんいて、しかも、カジュアルに絵や写真や動画つきでものを書くことができて、かんたんに公開できる。いまいちばん強い定型のメディアである。輸入品の定型詩としてはいちばん成功しているのではないか。
と述べている。また、山口勲は自己紹介を含めて、
わたしは雑誌「て、わた し」を二〇一七年から刊行しています。日本語の詩人と日本語以外の詩人を対にして紹介する雑誌です。そのなかで、私は英語圏、特にアメリカ合衆国のマイノリティの詩を紹介しています。書き手を社会から疎外する生活や、生き残っている自己を描く作品です。書き手の多くが移民二世か三世。一族の中でアメリカでの高等教育を初めて受けた人たちです。(中略)
私が今回紹介したものは必ずしも「詩的」ではないのかもしれません。作品と人物を切り離すべきだという考えから外れた前近代的な捉え方かもしれません。けれども、様々な怒りを通過した作品は近代日本が経験した原文一致とも通じ、声を通すことで社会や自分自身の生活と深く結びつく二十一世紀の文学だと信じています。
お時間のあるときにYouTubeで「ポエトリースラム」と検索してみて下さい。日本語でかまいません。そしてそこにあるものが詩なのかを一度考えてくださるとうれしいです。
と切に記している。あるいは、佐々木紺は、
「BL読み」を不思議がるひとたちは私からすると無意識な、「ヘテロ読み」をしているのではないかと思う。「なんでわざわざBL読みするんですか?と言われるが、逆に「なんで無意識に異性愛で解釈するんですか?」と聞きたい。そういう人たちが、男女がいれば恋愛だと解釈したり、恋愛を匂わせる句があれば無意識にヘテロ読みするのをしばしば見る。それを見ながら、自分にもヘテロラブフィルターがかかっていることに気づいてくれ・・・と祈るような気持でいる。
私を含むすべての人が、性的規範に関しての先入観以外にも、無意識にさまざまなフィルターをかけて作品を読んだりしている。(中略)
私のBLフィルターは今のところ着脱可能だけれど、あなたのはどうですか。
と、これも作品の読みについて、意外に本質的な提起になっていよう。現代川柳とは何であろう。小池正博は言う。
川柳性を「穿ち」に矮小化するのではなく、「詩」に解消するのでもなく、未分化で寛容なジャンルとしての川柳の可能性が私には心地よい。(中略)新しい表現の可能性が現代川柳の中から出てきてもおかしくない。
希望という病という言葉があるが、可能性の道こそ、困難で細い。それでも、行くしかかないだろう。じっくり確実に進んでもらいたい。ともあれ、同人作品より一人一句を挙げておこう。
日出づる国の群青舐めている 畑 美樹
コンビニの灯りに透かす首の皮 湊 圭史
スリッパのまま天国に来てしまう 浪越靖政
民法の者にはわからない 清水かおり
ミラールームにかぼちゃカボチャ南瓜 悠とし子
正確な描写をしよう123 川合大祐
意識から無意識へ行く柿の種 石田柊馬
おとうとよ誕生日にはテレパシー 一戸涼子
年明ける首絞め(チョーク)を防御したままで 飯島章友
暴力的な言い訳なんだ塗り絵 兵頭全郎
右へ曲がれば丸見えの未来坂 小池正博
・予定:【川柳スパイラル東京句会】ゲスト・矢上桐子・・・
・会場 北とぴあ 第一和室・日時 5月5日 午後1時~5時(参加自由)
〈第1分〉矢上桐子句集『hibi』を読む
〈第2部〉 句会 兼題「罅」「日々」「うっすら」「活字」」雑詠、各2句。
・午後5時~懇親会あり。
問い合わせ、申し込み・小池正博(電話・FAX)0725-56-2895
撮影・葛城綾呂 アンズ↑
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