2019年9月9日月曜日

鳥居真里子「くちびるの外に雨ふる血止草」(第3回浜町句会)・・



 去る9月6日(金)は、第3回浜町句会だった。数ヶ月に一度、福田鬼晶と白石正人が日程を調整して開催している。平日にもかかわらず、若い人たちの多い句会である。もちろん、愚生の参加している句会では、もっとも平均年齢が若い。愚生や鳥居真里子や福田鬼晶、白石正人が平均を押し上げているが、この句会の若者たちは、たぶん愚生の半分以下しかまだ人生を生きていない。いや、もっとかもしれない。羨ましいというべきか。光陰矢の如し。敢えて言っておくのだが、作句においては、いまだ俳句のかたちが書かせている、チョッピリ冒険心に乏しい感じ、これも今後に期待というところであろう。ということを言ってしまえば、本句会では、愚生の特選にとった加藤又三郎「夕焼を列車傾きだれも魚」が他のベテラン勢の句よりも心に響くいい句だった(もっとも相対的な評価になるが・・・)。
 申し訳ないことは、愚生の事情で昼間の限られた時間しか参加できないのが残念(たぶん充実の二次会だっただろう)。ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。席題は一句で「桃」。

  桃の夜をマントの中也とびをるよ        福田鬼晶
  独り身や桃に汚れし刃を洗ひ          福田健太
  夕焼や列車傾きだれも魚           加藤又三郎 
  人格のひとつはけもの露葎           西田克憲
  天体の類かの桃を冷やす                 鳥居真里子
  格子戸に白き人影水蜜桃            三輪 遊
  新涼の鞄に独身証明書             枝 白紙
  芋蟲のみしりと太る天袋            白石正人
  その笑みは退いてくれかと七竈        亀井千代志
  芋虫の点字ブロック超えてきし         市原みお
  秋うらら足首見ゆる試着室           中西 碧
  私年号(しねんごう)に「福徳元年」秋めく多摩 大井恒行




★閑話休題・・・佐藤文香「大暑なり日暮里駅を西に出て」(ビッグコミックオリジナル、8・20号)・・・


 先日、ひと月に一度の、いつもの医院で血圧降下剤待ちで、ふと、マガジンラックに目をやったら佐藤文香の句が目に飛び込んで来た。前号のも見たら、表紙に一句入っていたので、連載なのかもしれない。さすがにお仕事をしているなぁ・・と思った。彼女の第一句集『海藻標本』(ふらんす堂)を、愚生の務めていた書店に持参してきたときのことをふと思い出した。もう十年以上前のことだと思う。そうだ、池田澄子が「大変なライバルの出現だ」と言っていたなぁ・・・



           撮影・葛城綾呂 のら仲間 ↑

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