「山河」(代表・山本敏倖)誌で2年間、「チャレンジ俳句」のコーナーをやらせていただいたが、今号で最後である。本号の課題は、「コラーゲン」を詠み込み、かつ冬季であること。その天地人に選んだ句の鑑賞を以下に掲載しておこう。その他の句についての、それぞれのコメントは割愛して句のみを挙げておきたい。
★山河チャレンジ俳句 ―(コラーゲン・冬季)選句評・・・・・・
コラーゲンもの忘れして冬に入る 大井恒行(本号の題に一句献上)
コラーゲンというと、サプリメントばかりを思い浮かべてしまうが、ものの本によると体の主要な構成要素で、細胞同士を結び付ける働きをしている蛋白質、哺乳類では全蛋白質の4分の1を占めているらしい。食品では魚の煮凝りなどに多く、温水で処理するとゼラチンになる。食用の他、様々な用途があるという。
天 実感のなきコラーゲン冬うらら 勝山 京子
コラーゲンが不足すると肌荒れを起こすことも。艶のある肌と健康を保つためには重要な物質で、ビタミンCはその生成を助けるという。「冬うらら」は太陽たっぷりの冬晴れ、この温みにひたればさらに健康にいい。特別にサプルメントとして飲んでもいないので、実感はないが。
地 コラーゲンの話題諤諤鮟鱇鍋 新江 尭子
肌にも健康にもいいというコラーゲン。さもらん。その話題で諤諤というのが面白い。女性ならではの尽きない話題だ。鮟鱇鍋をつつきながらなら、なお、そうだろう。さぞ、身もこころも暖まる気がする。
人 コラーゲン聞き飽きていま日向ぼこ 田中 雅浩
例えば、地に選んだ前掲句の話題諤諤に聞き飽きてきて、やれやれ、よほど日向ぼこの方が体にも良さそうだ、と思う。ゆったりした時間を過ごしている表情が目に浮かぶ。
秀 コラーゲンを気にする齢雪女郎 岡田 恵子
笑い上戸炬燵で増やすコラーゲン 金澤 直子 秀 コラーゲンを気にする齢雪女郎 岡田 恵子
鮟鱇が垂らす涙とコラーゲン 太田 里子
煤逃やコラーゲンが足りなくて 森 さち
コラーゲン足元の霜見えますか 吉田 慶子
流氷にコラーゲンの群れ いるらしい 高梨よし子
隠遁に良く効く鮫のコラーゲン 土屋 秀夫星月夜コラーゲン注入就活か 山口 壽子
闇汁の底で鎮もるコラーゲン 福永のたり
佳 差し向いコラーゲン飲むちゃんちゃんこ 久田浩一郎
河豚漁の投機話やコラーゲン 広本 勝也コラーゲン補う顔や冬薔薇 次山 幸子
花温室やひと匙テロにコラーゲン 国藤 習水
女子鍋の摘みは決まりコラーゲン 高瀨多佳子
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