2019年12月13日金曜日

ふけとしこ「野菊とはここで別れる右へ行く」(「ほたる通信」Ⅱ《88》最終号)・・



 「ほたる通信」Ⅱ 2019・12《88》最終号、福家登志子(ふけとしこ)の葉書通信である。

 さてこの通信、めでたく八十八になったところで終りにしたい。今迄のお付き合い有難うございました。

 とある。そのほかに、以下のようなことも書かれている。

 俳句における文法の指摘が厳しくなってきた。歳時記の例句の取り消しということも起きている。(中略)
 平成十五年出版の『新版 角川俳句大歳時記)を改訂するとの連絡。詳細はまだ不明だが季語解説を改稿せよとのことである。例句の見直しも云々とある。新しい作品が取り上げられるのはいいが、こ文法上の問題から消される作品も出てくることだろう。髙柳克弘著『蕉門の一句』の中に〈私たちは文法のために俳句を読み、作っているのだろうか?答えは否〉のくだりがあった。私はこちらに納得する。

 同感である。ともあれ、以下に通信のその他の句を挙げておこう。

      綿虫に
   猿の腰掛石ころを載せてある
   菊の匂うて腓返りの治まって
   切羽つまつて冬たんぽぽへ屈む
   先生を見たかと綿虫に問うて
   顏描いてみたきと蕪撫でながら

 「船団も終刊するという。お疲れさまでした。



★閑話休題・・・堀田京子作・味戸ケイコ絵『ばばちゃんのひとり誕生日』(コールサック社)・・・



 葉書通信・88と、ばばちゃん・77のゾロ目つながりで・・・冒頭の数行から、幾行かを以下に引用しよう。たくさん読んでみたくなった人は、版元に直接お求め下さい。

 わたしのあだなはばばちゃんです。
 わたしをばばちゃんと呼(よ)んでくださいね。 

 きょうはばばちゃんの77回(かい)めの誕生日(たんじょうび)
 ひとりでむかえる誕生日(たんじょうび)です。
    (中略)
 亡(な)くなった夫(おっと)の写真(しゃしん)を、
 ケーキのとなりにそっとおきました。 
    (中略)
 ばばちゃんは28歳(さい)になり、
 あかちゃんをさずかりました。
 生(う)まれてきたいとしいわが娘(むすめ)
 お父(とう)さん似(に)のあかちゃん。
   (中略)
 しかしセピア色(いろ)した写真(しゃしん)のなかで
 夫(おっと)はいつもほほえんでいます。
 「あなたのおかげで今(いま)もしあわせです」と、
 ばばちゃんはつぶやきました。
 ねこのミイヤはざぶとんのうえでまるくなっています。

 ばばちゃんはきづきました。
「わたしはひとりではない」と。  
   (中略)
 ばばちゃんは夫(おっと)の写真(しゃしん)に手(て)をあわせ、
 ワイングラスをりょう手(て)に、おおきいこえで
 「かんぱい」
 ケーキをいただきながら、ほろよいきぶんで
 「海(うみ)の歌(うた)」をうたいました。(後略)

 堀田京子(ほった・きょうこ)1944年、群馬県生まれ。
 味戸ケイコ(あじと・けいこ) 1943年、北海道生まれ。


撮影・鈴木純一 ↑

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