2022年7月18日月曜日

伊藤眠「みなと百年また百年の梅雨の空」(「楉(すはえ)」第20号)・・


  楉(すはえ)第20号(上智句会改め:すはえ句会句集)。発行人の根来久美子の「あとがき」に、


(前略)コロナ禍が一服していた十一月、久しぶりに対面句会を開き、今後のことを話し合いました。その席で、代表交代に伴う句会の名称変更の提案があり、新名称選定の作業に入りました。そもそも大輪先生が、上智の学生や卒業生を集めて始められた句会でしたから、「上智句会」という名前だったのです。(中略)泣く泣く諦めることになり、さらに議論を重ねて、最終的に「すはえ」と改名いたしました。

 新しい句会名を句集名と同じ「楉」にしてはどうかとご提案下さったのは、大輪先生でした。「楉」ではなく「すはえ」となったのは、「楉」という漢字が環境依存文字であるため、メールのやり取りの際に文字化けしてしまう可能性があるからです。平仮名でしたら、そういう心配はありません。表記は「すはえ」ですが、発音は「すわえ」。「楉」と同じ読みです。


 とあった。ともあれ、以下に一人一句を紹介しておこう。


  寒鯉の動かざること只管打坐       大輪靖宏

  ジョーカーの一句あたため初の句座    加藤房子

  啓蟄や着信メール今日もなく       大島等閑

  秋蟬や夏痩せの声かも知れず       有馬五浪

  ひらひらと手話の指先花の昼       藤井綏子

  一段と色のきはまる花曇       吉迫まありい

  ふらここの高々と空平和なり       柳堀悦子

  親ばかリ下向き歩く海雲取り       堀場啓司

  寒の月いでて獣声統べるごと       伊藤 眠

  着ぶくれを吐いては吸うて発車ベル   根来久美子

  薄暗き切通しなる初音かな        平澤東山

  羽化すれば夢の大空しじみ蝶      蝋山葉流美

  出番くるまで船頭の片かげり       仲 栄司

  初夢や手には届かぬ北極星        向瀬美音

  おはじきにちよんと差し色秋の昼    山本ふぢな

  銘々に魔法を秘めてチューリップ     井上泰至

  蜃気楼うつつの鷗よぎりけり       纓片真王

  餡パンの匂ふ銀座の雪もよひ      長谷川槙子

  遠縁を訪ねて卯月曇かな         峯尾文世

  触るるもの青に変へゆく梅雨の蝶     栗原和子

  白梅の大空抜けて曲がりけり       高原沙織

  合格の字踊る子の日記果つ        川口華織

  雪の峰抱かむジェットコースター    岸本こずえ

  呆気なく終はる会議や初時雨       成瀬靖子

  終戦の日伝へることは学ぶこと     藻井友紀子

  柚子浮きて馴染まぬ風呂の馴染みけり   松尾 哲

  抜歯せし跡は筍飯で埋む         西苑実生

  夜には夜の朝には朝の百千鳥      今尾江美子

  臥して居て花瓶の春に凭れをり      鵜飼祐江

  嘘つきの嘘に聞き惚れソーダ水      諸星千綾 



       撮影・鈴木純一「ねじのはな無窮は真か悪徳か」↑

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