2022年7月1日金曜日

金田一剛「茅の輪くぐり8の字8の字の向こう」(第38回ことごと句会)・・

 

 第38回(メール×郵便切手)「ことごと句会」(2022年6月18日・土・付け)、雑詠3句+兼題一句「満」。早くも梅雨明け、猛暑到来で、愚生のような年寄りにはひときわこたえる。ともあれ、以下に一人一句と寸評を挙げておこう。


  嫋やかに揺らす扇子の図り事       江良純雄

  守宮鳴く父の一字を引き継ぎて      渡邉樹音

  春の布うち拡げてや詩の山河       渡辺信子

  ことごとく夏の男はご満悦       らふ亜沙弥

  フィレンツェの黄昏ながき薄暑かな    武藤 幹

  忘却の時鳥今さら何を言われても     照井三余

  左腕のアップルウオッチアロハシャツ   金田一剛

  背筋伸び兵士のように歩く父       杦森松一

  アガパンサスその紫を風とせよ      大井恒行


★寸評

・「茅の輪くぐり・・」ー向こうにあるのは神の査定所。祈りの採用却下を一杯やりながら決めている。向こうに希望を見る不信心を嗤う(純雄)。

「嫋やかに・・」ー嫋やかにと図り事想像が膨らみます(松一)。ふふっと含み笑いをしてしまう。いいですね(樹音)。

・「守宮鳴く・・」ーふと眼をやると壁にへばりついている守宮、父の名を一字もつ我が名、なかなか超えられない父の存在をふと思う(恒行)。

・「春の布・・」ー春の布をうち拡げるのは、佐保姫と決まっているが、「詩」を言わなくても「山河あり」、「山河かな」でも詩情は十分。だが、あえて「詩」といわねば気のすまない作者がいる(恒行)。

・「ことごとく・・」ー作者が万一男なら自虐だが、まず女性だろうから、男を甘く見やがって・・だ!(幹)。

・「フィレンツェ・・」ー行ったことはないがフイレンツェと黄昏は相性がよさそう。加えて薄暑の淡白さがフィレンツェの空気を醸す(純雄)。

・「忘却の・・」ー不如帰と書いたらあまりにも・・・と作者は「時鳥」としたのだろう。その位筋の通った句?だ!(幹)。

・「左腕の・・」ー精悍なんだかチャラいんだか。夏!という感じが伝わってきます(樹音)。

・「背筋伸び・・」ー思い出の中の父はあたかも兵士のようであったか。かなしみをも湛えている(恒行)。

・「アガパンサス・・」ー上五、いろんな花で行けますね。私なら「つゆ草の~」とか(信子)。



      撮影・中西ひろ美「髪洗うあす何事もなけれども」↑

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