たしかに、中村光声句集『声』(ふらんす堂)にはさまざまの声が発せられている。また、聞こえてくる。ブログタイトルにした句の蒼茫には、つい野村秋介の『銀河蒼茫』を思ったりした。銀河の句もある。
たましひとなつて銀河の駅にゐる 光声
もっとも、これは宮澤賢治・銀河鉄道がふさわしいかも知れない。
ひよんの実の穴より無灯艦隊来(く)
は、「銀河系つうしん」の西川徹郎の句集「『無灯艦隊』あれば」の前書もある。
跋文は真情あふれる角川春樹、魂の一行詩に連なっている。その見事な跋を読めばいい。
ただ、ここでは、以下に愚生好みの句をいくつか挙げさてもらおう。
ヒロシマや折鶴何羽翔つたらう
けふもまた誰かの忌日蚯蚓鳴く
たましひの似た人とゐて秋淋し
しぐるゝや電気ブランに琥珀(こはく)
の灯
霙るるや石の記憶に火の記憶
きのふよりけふはるかなり花の沖
水の上(え)
に水のこゑある立夏かな
デラシネのひとりに余る粥柱
虚空より父在りし日の花のこゑ
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