表紙絵は、島女史・孫の吹雪 ↑
島雅子第二句集『もりあをがへる』(朔出版)、栞文は鳥居真里子「ピアノに眠る羊たち」、岩淵喜代子「沙漠の星」、谷口智行「遥かなる尋めゆき」の三名。集名に因む句は、
あをもりのもりあをがへるあをがへる 雅子
である。その経緯について著者「あとがき」に、
(前略)深山の夕方、ぼんやりと池を見つめている私に、「森青ガエルです」と静かな声で教えてくれた少年がいた。チェコで生まれたというその少年との透明な時間を句集名にして記憶にとどめておきたかったからである。
と記されている。そしてまた、
日常にいま在ることの尊さ、不思議さ。ふとした出来事はいつかどこかで繋がっていたりもする。毎日が即興で新しい。日常を詠み、時空を超える表現が出来た時、どんな喜びに出会えるか、俳句形式を信じて詠み続けたい。
とも述べている。 その出発の先師は鈴木鷹夫。集中に偲ぶ句がある。
鷹夫忌のけふこれほどの花吹雪
大掃除『カチカチ山』に中断す
変奏に、
女ふらりカチカチ山の蕨喰ひ
の句も・・・。ともあれ、集中より、愚生の好みに偏するが、いくつかの句を以下に挙げておこう。
夕顔の襞に微風のとどまりぬ
天の川座棺に終の正座かな
えいぷりるふーるけふだけは死ぬな
父の墓濡らす瞬間シュンといふ
この春は飯こぼしをり淋しさよ
逢ひたくば死ぬほかなくて春の風
黒揚羽たちまちわれも翳りけり
おもふさま日に焼けておもふさま笑ふ
死亡者に夫も加はる広島忌
つくつくし被爆認定死後届く
亡き母をおもへばうすらひあかりかな
凍鶴の脚を上ぐるはさびしいか
小豆粥ひがひがしきをなされるな
島雅子(しま・まさこ)1940年、神戸市御影生まれ。
撮影・葛城綾呂 キミは西へ・・・↑
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