2020年6月5日金曜日

太田うさぎ「この丘の見ゆる限りの春惜しむ」「(『また明日』)・・・




 太田うさぎ第一句集『また明日』(左右社)、集名に因む句は、

   また明日コートひらりとすたすたと    うさぎ

 であろう。跋文は仁平勝「俳句の場面(シーン)をめぐって」、その中に、

(前略)太田うさぎの句は、一貫してウイットが効いている。(中略)

   美人の湯出てしばらくを裸なり
   忘年や気合で開ける瓶の蓋
   ラグビーの主に尻見てゐる感じ

どれも一読してニヤリとさせられる。解釈は不要だろう。ちなみに一句目には、口語と文語が交じっているといった批判もでそうだが、それは嗜好(あるいは流派の意匠)のもんだいであって、俳句の価値とは関係ない。だいいち「美人の裸出でて(・・・)」では、一句のユーモアが台無しです。

 とある。帯の惹句には、これも仁平勝、

 太田うさぎは、なかなかの芸達者である。ごく日常的な題材でも、言葉の芸によって新鮮な場面に変貌する。

と記している。ともあれ、愚生好みに偏するが、以下にいくつかの句を挙げておこう。

   水鳥に何も持たざる手を広げ
   水逃げてときをり風を寄越すなり
   三島忌の倒して食べるケーキかな
   きつねのかみそり迷子になつてゐないふり
   川幅を水は急がず竹の秋
   凧揚は凧から逃げてゐるかたち
   モニターに白蟻駆除の二人組
   天神の裏まんさくの日和かな
   草むしり土恥づかしく現れし
   ゐた人の消えコスモスの曲り角
   都鳥よろづのみづにふれてきし

 太田うさぎ(おおた・うさぎ) 1963年、東京生まれ。




 ★閑話休題・・・春風亭昇吉「万緑に提げて遺品の紙袋」(プレバト・6月4日放送)・・・  


 6月4日(木)の「プレバト」では、愚生も参加している「遊句会」の仲間である春風亭昇吉が、2回連続で、才能アリ一位!を獲得して、特待生になった。これで、田舎の両親に親孝行が出来たと、涙ながらに語っていた・・・。見事!じつは愚生は「プレバト」をほとんど見ていなくて、昨夜も何やかやとバタバタしていて見るのを忘れていた。春風亭昇吉が出演するのは前の日に知らせがあったので、念のため、娘に録画をお願いしていたので助かった。今朝、やっと観たのだ。他の出演者も、これまで、才能アリ、一位を獲得されたメンバーばかりで、皆さん、良い句を作られていたが、それらを圧倒しての一位、夏井いつきに「この人は俳句の骨法を分かっている」と唸らせていた。今後ますます期待され、特待生だから、プレバト出演の機会も増えることだろう。ゴールデンタイムの新スター誕生かも知れない。

  

撮影・芽夢野うのき「無人島ヒトを咲かせてゼラニウム」↑

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