山田ひかる句集『山椒の実』(私家版)、活字の入力、印字、製本すべて自らの手作り句集である。集名に因む句は、
山椒の実人を選ばぬ自動ドア ひかる
である。著者「あとがき」には、
俳句に係わり十五年。様々な方から身に余る句集をいただきながら、自分の句集はまったく頭になかった。
昨秋、澪俳句会の終刊後、仲間と続けている如月句会も一年有余経過し、合同句集をとの話があり、その作成を引き受けた。(中略)
「そうだ!この際、合同句集のスタイルで自分の句集を試しに作ってみよう」「合同句集の下準備と終活。一石二鳥!」とにんまり。あくまでも自分史、それもお試しと細部に拘らず取り掛かる。(以下略)
とあった。ともあれ、集中より、いくつかの句を以下に挙げておこう。
青蜥蜴観音の箔おぎなへよ
新樹光砂場のおもちゃ踊り出し
Tシャツに変体仮名や風光る
さくらんぼ奇数が好きとひとつ足す
亀鳴くや千手観音千の耳
罪のなき罪をつくりて猫じゃらし
つちふるや恐竜パズル完成す
弱虫も泣き虫もいて小鳥来る
秋深し山河の切手選りて貼る
★閑話休題・・・山本敏倖「さえずりをなぞりししゅわのつめのいろ」(「山河」364号より)・・・
「山河」364号の山田ひかる作品の中の一句は「クレヨンの二月の間口広がりぬ」であった。そのつながりで「山河」364号。「特集は「アート展望〈映画〉」。大谷清「橋本多佳子とモンタージュ」、栗原かつ代「ヒーローとファンタジー」が執筆している。他に、昨年は、愚生が選者を勤めさせてもらった「チャレンジ俳句」の選者は、宮崎斗士。第57回はテーマは「パラフィン」+夏季であった。因みに、天・地・人の句を紹介しておこう。
(天) 夏蚕飼う母の手捌きパラフィン紙 平林敬子
(地) 茄子にのり夫パラフィンの中に消え 渡辺芳子
(人) 卯花腐しパラフィン取れし師の句集 勝山京子
芽夢野うのき「なつみかんこんなすっぱいアイがある」↑
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