2021年8月4日水曜日

青木辰男「母国かここも屑籠楯に暑きスラム」(「トイ」Vol.05)・・・


 「トイ」Vol.05(トイ編集室)、池田澄子、樋口由紀子、干場達矢、青木空知の四名の同人誌である。ブログタイトルに挙げた青木辰男「母国かここも屑籠楯に暑きスラム」の句は、各同人による一頁ずつのエッセイがあるが、干場達矢「暑きスラム」からのものである。青木辰男は、 


 (前略)1931年に大阪に生まれ、2009年に名古屋で没した。生前は夜鳴きそば屋をして生活s、家庭を持たなかった。仕事をするほかはひたすら書き物をして生きた人である。(中略)

 作品は同人誌に発表していた。〈舗装裂く聖し工夫の裸体なり〉〈跛く脚へ懸る鋼材星流る〉〈汗し異教徒鉄挽きつつも無き聖痕〉。残した作品の多くは労働をテーマにしている。先に辰男を俳人と呼んだが、短歌も作り、その後は詩作が中心だった。(中略)辞世の歌は〈わが息のみなもととしてこの遊星よ無機も有機も呑む星として〉。

 辰男の作品は没後に五郎氏がまとめた『断声 ある夜鳴きそば屋の詩』(牧歌舎)で読める。


とあった。五郎氏とは、青木辰男の実弟。ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。


   昼顔の茎の丈夫の憐れなど       池田澄子

   占い師の言ったとおりに泡になり   樋口由紀子

   幻想の天守喬かれ青嵐         干場達矢

   けふも此の陰この高さ蠛蠓は      青木空知




★閑話休題・・・「ちょっと立ちどまって」2021.7・・・

 二人のハガキ通信「ちょっと立ちどまって」から、一人一句を以下に挙げておこう。

   琴線を離れトランペット涼し       森澤 程
   パパゲーノパパパパゲーナ鈴涼し    津髙里永子



       芽夢野うのき「疑問の赤ペン百日紅の百日」↑

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