「鏡」第27号(鏡発行所・寺澤一雄)、表紙デザイン=佐藤りえとあり、明後日開催の「兜太と未来俳句のための研究フォーラム」(於:津田軸大学千駄ヶ谷キャンパスSA207号教室・定員90名)の司会を彼女が務める予定である。「WEP俳句通信」106号で坪内稔典が、
(前略)もちろん、存在者と呼んで兜太を担ぐ俳人などがいたし、その人々に兜太ものっていた。担ぐ人も担がれる兜太もだめだと思った。そのだめな兜太は死後の現在、〈兜太〉として相変わらず人気のようだ。兜太の名をタイトルにした雑誌も近くでるらしい。
と述べているが、そのダメ俳人の一人の愚生は、その会の片棒をかつぐので参加することになっている(だめ俳人と呼ばれる間が花かも・・)。
話題を元にもどして、「鏡」表紙裏の連載「一句憧憬」は28回、今回の句は「鬼房は岩の仲間ぞ霧しまき 八田木枯」。誌中の句評も寺澤一雄で同人誌ながらも、誌の構成は主宰もようの健筆をふるっている。ともあれ、以下に「鏡」本号から一人一句を以下に挙げておきたい。
ぢき消える火を捧げ持つ涼夜かな 村井康司
散歩する犬を団扇扇ぎつつ 佐藤文香
九月一日北へ行くヘリコプター 谷 雅子
虹を背にシェーカーをふる男たち 笹木くろえ
百年を黴ざる家のこゑしたり 八田夕刈
着信のそのまま潜る茅の輪かな 波田野令
はや九月一日二日三日かな 三島ゆかり
鵙高音媚薬を計る竿秤 森山保子
昼寝する猫しかをらぬ理髪店 井松悦子
少年に十代永し鮎の川 佐川盟子
辻々に違ふコンビニ梅雨明ける 大上朝美
不老不死鰻を食べたくらゐでは 寺澤一雄
★閑話休題・・・「ユプシロン」第1号 ↑・・・
月に一度四人で俳句を持ち寄って句会をやり、半日を過ごしているという。それらを一度まとめようと思い立ったのだとか。「あとがき」には、
タイトルをつけて五十句、という以外には何の制約もなく、それぞれが自由にまとめてみたのがこの冊子です。
とある。以下に一人二句を挙げておこう。
細部までシンメトリーに揚羽蝶 岡田由季
ばらばらの向きにペンギン立つ日永
登ってはならぬ梯子や春の闇 小林かんな
するすると枯蔓の出る発券機
給油所の煌々とあり冬銀河 仲田陽子
人形の片目が閉じず桃の花
春の水永久機関の管の中 中田美子
譜面より水鶏の声を取り出せり
撮影・葛城綾呂 夜明けの欅↑
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