「豈」7号・8号 ↑
塚越徹「蕗の薹」(極私版)400字原稿用紙にコピーされた、「虫偏」「土蜘蛛」「言語学者」「赤い日傘」「COVID・19」の5章に各17句、合計85句が収められている。便りには、「前にお会いしましたのが2017年9月のようでした」、とあった。塚越徹は、東中野駅近くで、眼鏡店を営んでいる。従って、東中野駅近くのバー「八甲田」のバーテンダーだった「豈」創刊同人・大本義幸とかなりの親交があったはずだと思い、大本義幸の余命を宮石弘司から知らされた愚生が、大本義幸の状態を知らせに行ったときのことだろうか。いや、それ以後に、愚生が、何かのついでに立ち寄ったのかも知れない。ともかく彼は、攝津幸彦存命時代の「豈」同人である。もとはといえば詩を書いておられたので、「豈」には、「詩集『水準原点』についてー石原代吉郎ノート」などを執筆されていた。
余談だが、40年ほど前、愚生の唯一の近眼鏡は、彼の店で作ってもらったもので、その後は、視力0.3から、さして進行せずだったので、日常生活では眼鏡をかけることは無かった。せいぜい、映画の字幕を読むためくらいだった。とは言え、近頃は、老眼にもかなりなっているいるようで、今度は彼に、遠近両用か、もしくは老眼鏡をお願いしようかな・・・と思った次第なのだ。
それにしても、彼には、長い休詠期間だったようだが、今度の集には、2017年からの句が収められている。ウオーミングアップの助走から、本格復帰も近いかも知れない。
面白く読ませていただいたので、いくつか以下に紹介しておきたい。
蕗の薹(バッケ)摘む北の蝦夷(エミシ)の末裔(スエ)なれば 徹
十一年二月二十五日白き虹
杉浦日向子
カナブンや江戸の意匠の果ては蛭(ヒル)まで
神樹蚕(シンジュサン)、林檎に巣くうこともあり
黄泉がえれ山崎、非戦あやふし
リカ、イルカ言語学者はピアノひく
「やみ市」の「南京虫」は腕時計
豆腐店閉店す
雪が降る、生揚げをふたつ下さい
ひとつのスイカを「こども食堂」に
菜の花やおかよの店の小鉢かな
北向きに置かるゝ石斧(セキフ)、根の国へ
エシャレット似ているそいつが出てこない
ラワンブキ雨宿りする神(カムイ)かな
撮影・鈴木純一「キリストの倍は生きたぜ合歓の花」↑
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