2020年7月28日火曜日

こしのゆみこ「姉よりも先に来ていて青き踏む」(「豆の木」NO.24)・・




 「豆の木」NO.24 (豆の木)、連載評論は片岡秀樹「言霊と戦争 巻之参/¨もののふ¨藤原定家&¨海人族(あまぞく)紀貫之編」、緻密にして、粘りのある論ながら、愚生にとっては、いささか難解である。しかし、愚生の読解力の未熟で、片岡秀樹の責任ではない。今号の結論は、

 言霊を巡る奇譚の現実と虚構の落差、貫之と朝雄の姿を対比することでそれは浮き彫りになったのではないか。

 と述べられている。興味のある向きは一読あれ。次回は(4)「古代・上古編」に続くと予告されている。ともあれ、本号集中より、一人一句を挙げておこう。

  心音のたびにふくらむ初あかり     月野ぽぽな
  一周に五十万年遠き春          中内火星
  さへづりはつぎつぎこより作りけり    中嶋憲武
  出して切り量つて売れり秋灯      三島ゆかり
  冬帽がこの世の遠くで汚れている     三宅桃子
  梅咲いて内ポケットのボールペン    宮本佳世乃
  向日葵や子に捨てられそうな真昼     室田洋子
  ハンガーの大ぶりにして雪の宿    矢羽野智津子
  舟は花つめたい顔の揺れながら      山岸由佳 
  たはむれに犬の声出す寒鴉        吉田悦花
  祝賀御列はるか赤い婚礼ドレスの子    吉田秀彦
  春の耳より夫の耳より猫の耳      らふ亜沙弥
  冬の星汲み行くやうに観覧車       鷲巣正徳
  肉厚の上腕筋や秋高し          上野葉月
  水滴がわたしのなかにある芒種      大石雄鬼
  くちびるが勝手に動き手鞠唄      太田うさぎ
  星涼し電卓のもう進化せず        岡田由季
  金銀の鈍き鍵束年詰まる         小野裕三 
  木枯のなか抵抗を買ひにゆく       柏柳明子
  死者たちを蓄えし闇薪能         片岡秀樹
  国土とやさびしき沖なり青林檎     川田由美子
  くちびるをむさぼる冬の木になつて    楠本奇蹄
  アパートの窓それぞれの望の月    こしのゆみこ
  明日にはみずいろの羊の毛刈る       近 恵 
  沢蟹の水乏しきを這ひ出でぬ      嵯峨根鈴子
  美しきティッシュペーパー花粉症   しまいちろう
  一月の付箋に貼られてゐる付箋      鈴木健司
  からだから雲型定規ぬつと蝗       高橋洋子
  天高しどの子も包まれて生きよ      田島健一


                                  

      芽夢野うのき「世は割れ鍋に瘡蓋ばかり茄子の花」↑

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