2020年7月4日土曜日

各務麗至「木枯らしの天には見えず地を走る」(『約束』より)・・・




 各務麗至『約束』(詭激時代社・500円)、表紙には、「詭激時代コレクション精選集」とあり、

 反時代的なほどに/一貫して/芸術至上主義的方向をくずさず、/端正な文章をつづって

 とある。『約束』の終わりの部分を抄出すると、

 (前略)そういう偶然を必然とするくりかえしを「約束」と呼ぼう。
 詩とか小説とか俳句とか、峻別も敬遠畏縮することもない。初心の頃、共に表現方法に文章を選び志した者の幸運な出会いである。
 最後まで見せていただいた書くことへの思いの深さ、三木昇の「縁」ではないが、少年時代から繋がっていた田井洋一との友情や、志都一人という稀有の才能を目の当たりにしたり、麻生知子が生涯の失敗と引き換えにした同人雑誌があったればこそ今の私が在って、
 只々のろまな儘で終わるかも知れないが、
 それこそが教えられ励まされ支えられてきた力ではあった「約束」のような繋がりを、何かを書き残そうとするだろう「約束」のような「縁」を、私は忘れることが出来ないだろうと思っている。そして、
 生かされている限り、と、言いきかせながら、私も書きつづけとたいと思っている。

                        ― 戛戛118 2020.1
 
同書には、

 詭激時代コレクション精選集 小冊子版刊行 栞
  詭激時代    -SINCE  1963-66 
                          *全五十四巻版、令和二年五月十五日編集校了。

 が、あり、この栞の最後は、「第五十三、五十四巻 新しい生活 上・下 戛戛120 令和二年五月 *71歳」(以下略)ともある。これらのことは「戛戛」第121号(2020年7月15日)の「あとがき」に、

 文庫版より少し大きい、新書版の作品集をと思い立った。「詭激時代」創刊四十五周年、創刊五十周年とその折々に各十巻前後版を発刊して来て、
 現在は来年の五十五周年に向けての十五巻版を編集していたのだけれど・・・・。
 果たして、そういう各巻に何作も詰め込んだ大冊形のものを読んでもらえるかどうか。書き方も夫々なら読み方も夫々で、こちらの力の無さを棚に上げての言いようだが、そう思った。(中略)

 と、記されていた。『約束』には、「詭激時代ー同人雑誌批評の頃」が収載されていて「文学界」「文藝」「三田文学」などに掲載された批評文も抄録されている。その最後の「覚書にかえて」には書信もある。その巻末には、麗至「壊れやすきは漢よこころは龍を思ひ」(令和二年年賀句)への松本徹のものが書き留めてある。

  賀状ありがとうございました。
  壊れやすきは漢よこころは龍を思ひ、の
  句を拝見して「約束」を読みますと、胸に
  迫ってくるものがありますね、しかし、人生
  はこれでいいんだとの思いもうまれて来
  ます。少なくとも龍を夢見ることは
  存分に、お仲間を得て、されたんだろうと
  思います。一層のご健勝を祈ります。  
                  松本 徹

とあった。

  音のして音のきえゐる時雨かな  麗至(平成2年三橋敏監修「ローム」巻頭句)



         撮影・鈴木純一「山の塚山の花にて間に合わせ」↑

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