浜脇不如帰第一句集『はいくんろーる』(私家版)、奥付には、「平成二十三年三月二十日 発行/令和元年五月二十日 改訂」とある。面白いことに、著者略歴に、
模試の英語長文読解では満点しかとったことがない
本名 昇
と記されている。本名が昇だから(子規の升さん・・)俳号の不如帰は、想像できるが、この略歴のなかには、次の部分もある。
平成25年 主イエス・キリストを信じる。
当改訂版はその猛省のため。
ともある。句集の内容は、1ページ4句建てで、平成17年6月10日からきっちり2か月ごとの章題が入っている。つまり、次は平成17年8月10日の句であり、最終章は平成21年6月10日である。その後は、所属した「風来」1号~4号までの作品。「あとがきにかえて」も作品10句を掲げている。当初は平成17年「白燕」の最年少同人だったという。シンプルな作りの句集である。
ともあれ、以下にいくつか抄出しておこう。
生活感/出てきた蛇も考える 不如帰(平成17年6月10日)
先往きの透明なるは金魚鉢 ( 〃 8月10日)
正午過ぎ指揮官不在の蝉時雨 ( 〃 10月10日)
てのひらをじっと見てみろ秋はある ( 〃12月10日)
ラメ入りのツメ改めて初日の出 (平成18年2月10日)
愚生注*以下日付略す
感嘆符今数えなきゃ霜柱
吾輩の主は胃弱屁はきつく
妙案が浮かんじゃ沈む三尺寝
甲板にカナヅチ錆びる春の海
風上に置いてけぼりで鮎腐る
空と見て空となりたき西瓜哉
江戸前の裏地錦や烏貝
跳彈や沖に沈んだ油蝉
偶数の素数あふれる天の河
熱(ほとぼり)がプラズマ化する油照
腰掛けて踵はつかぬひなあられ
浜脇不如帰(はまわき・ふじょき) 昭和54年 長崎県生まれ。
芽夢野うのき「涙腺を溢れてわたし彼岸花」↑
0 件のコメント:
コメントを投稿