2020年11月11日水曜日

筑紫磐井「ふつうの人をふつうのやうに死がおそふ」(「俳句新空間」第13号)・・・


  ーBLOG俳句新空間媒体誌ー「俳句新空間」第13号(発行人 北川美美・筑紫磐井、協力人 佐藤りえ)、「編集後記」に、


 昨今、句会がままならぬ時期になっているところから「俳句新空間」では参加者有志によるネット句会を5月から開始した。皐月句会という。第1期は37名が参加して大掛かりな句会となった。「俳句新空間」ではその結果を毎月BLOGで発表するとともに、冊子「俳句新空間」に編集して掲載することとした。その手始めに第一回句会結果を今回掲載した。句会は、①投句:1人2句、②選句:1人5句、③選評:選句5句のうちから1句について選評という方式で行なっている。今回は選評を得た全句を紹介することとした。


 とあり、ここでは、トップページの最初の部分を以下に引用する。

 投句:5月1日~10日/選句:5月11日~24日/発表:5月25日

*11点句

黒々と職員室のバナナかな(西村麒麟)

【評】誰も手をつけぬまま。--岸本尚毅

【評】写生として読んでも面白いですし、何かの風刺として読むこともできます。バナナの雄弁さが印象的です。--小林かんな

*7点句

ふらここの高みの先に待つと云ふ(真矢ひろみ)  


鯉幟のなかの青空折り畳む(水岩瞳)

【評】青空ごと取り込んだという発想と、折り畳むという屈託とに惹かれました。--小林かんな


こどもではなきわれわれのこどもの日(依光陽子)   (以下略)


 その他、「令和2年俳句帖(歳旦帖~花鳥篇)、「前号作品を読む」、新作20句(日盛帖)があるが、ここでは、「日盛帖」(参加者・26人)から「豈」同人のみになるが、一人一句を以下に挙げておきたい。


  風鈴や今日をリセットするご飯       神谷 波

  炎昼に握る手があり掴みけり        北川美美

  雷の庵る宇宙の宮ぞかし          五島高資

  体中耳生えてくる野分かな         田中葉月

  仙人掌や気持ちのいくつかは捨てる    なつはづき

  其処からは闇と知りつつ花筏        夏木 久

  大花野少し見えたる母の紐         福田葉子

  雷鳴に気づくWi-Fiすでに切れ       渕上信子

  鳶が追うらせんの思慕や昼銀河       堀本 吟

  岬へと消えゆく虹を見にゆかむ      真矢ひろみ

  挨拶のまへに大きな虹のこと        佐藤りえ

    船団・終刊(注:散開せし兵を散兵といふ)

  日時計・黄金海岸・天敵・未定・豈 散開! 筑紫磐井   



★生駒大祐「立冬の鳥をぶら下げたる空か」(「ふらんす堂通信」166より)・・


 「ふらんす堂通信」166(ふらんす堂)、第11回田中裕明賞受賞・生駒大祐句集『水界園丁(すいかいえんてい』(港の人刊)に因む新作10句「明るさのこと」のうちの一句が上掲の句である。改めて著者略歴をみると、受賞歴もなかなかである。なかに、第3回攝津幸彦金賞受賞とあるのは、地味な賞ではあるがふさわしい選だった、と思い、かつ現在無所属とあるのが、どこか潔い感じがする。その特別寄稿「トレース法について」の冒頭に、


 昔から記憶力は悪い方だ。主に短期記憶よりも長期記憶の方が弱く、幼い頃から高校生になるまで辺りのことはほぼ覚えておらず、断片的で記憶違いも多い。「物心ついたのは高校生の頃です」という自己紹介をする時も完全に真顔で行っている。(中略)

 最近はこの記憶力の悪さも意外と使いどころあるのではないかと思い始めてきた。それは「脳内で先人の句作の過程をトレースする」というトレーニングだ。


 と記されている。この方法に興味を持たれた方は原文に当たられたい。どうやら、選考委員四名、佐藤郁良、高田雅子、高柳克弘、関悦史、一位もしくは同等に推したのが、高柳克弘と関悦史。そのそれぞれの評も、第2期田中裕明賞の行く末を暗示しているような評であった。俳句の未来は、まだあるようだ。


    火のことの年々虚ろ棗の実       大祐


生駒大祐(いこま・だいすけ) 1987年、三重県生まれ。



         撮影・鈴木純一「ポピュリズム蜜より甘し小六月」↑

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