2014年7月18日金曜日
大高芭瑠子「冬夜声出すカーテン裏の小悪魔」・・・
「面」117号は大高芭瑠子追悼特集である。
愚生の想い出に残っている大高芭瑠子はいつも夫君の大高弘達と一緒のおられる光景だ。
とても静かな、それでいて、お互いに気遣いあっている、仲のよい夫婦という感じだった。それもこれもいつも大高弘達が杖を支えに歩く、その傍にそっといるという風情だった。美しい光景だった。
「面」の同人のなかでも数少なくなった西東三鬼直系の弟子である。その三鬼主宰「断崖」に入会したのは1955(昭和30)年、23歳の時だ。それは結核治療のために入院した有隣病院(世田谷区)でのこと。その院内に夫君大高弘達が支部長を務める「断崖」東京支部があった。現六本木ルーテル教会の洗礼を受けたのもそのころのことである。
1962(昭和37)年、三鬼が逝去し「断崖」が終刊すると、翌年1963年、大高弘達を編集発行人とする「面」が創刊された。1970年大高弘達とともに「俳句評論」同人。
1992(平成4)年、大高弘達編『西東三鬼の世界』(梅里書房)では、体調思わしくなかった弘達を助けて「西東三鬼・人と作品」②を執筆した。
「面」117号大高芭瑠子追悼号には「御霊に捧ぐ」として追悼句が寄せられている。以下に一句ずつを挙げておく。
守護されしごとく葉陰の白椿 網野月を
コータツさん呼ぶ芭瑠子さんの忌なりけり 池田澄子
春待てば今宵静かに玻璃の船 上田 玄
ぜいたくな「金の針」かな芭瑠子の忌 衣斐ちづ子
花衣つくろふべしや金の針 岡田一夫
姉と呼びたきその面差よ永遠に常に 加茂達彌
秋の蛍ひとつが消えて逝きし森 北上正枝
山裾へ下りくる紅葉かなしけり 小林幹彦
天馬駆る人ありありと緑の夜 渋川京子
露の庭坂を知らずに育ちしと 高橋 龍
鷹生さんあれは辛夷よ寂芭瑠子さん 田口鷹生
金の針降らさむ天の落葉松も 遠山陽子
桐の花いまパライソに咲きいるや 福田葉子
春帽子後れ毛靡く遠クルス 本多和子
緯糸に金のひとすぢ秋逝けり 宮地久子
しなやかに追悼号を発つ胡蝶 山本鬼之介
青い鳥金枝をくわえ飛びたてり 北川美美
「金の針」は大高芭瑠子句集(梅里書房刊)。2013年10月25日逝去、享年81。
厄日かな地面を歩く数多の蝶 芭瑠子
枯草の音出す投網干されては
蜜柑山の枝の蜜柑に口づけす
三鬼忌の磁石の針のたゆたふも
夏の山微塵と砕けよ紫黄亡し
ナツツバキの実↑
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