2016年3月7日月曜日

小林一村「冬うらら手足はこの世離れたる」(「点」42号)・・




「点」は『海程 福井支部年刊合同句集』である。「海程」という結社は、外からみていると「海程多摩」も先般合同句集を出していたし、それぞれの地で、俳句活動を実に積極的に行っている印象がある。それが、各地域、支部での合同句集として結実しているのだろう。編集者は中内亮玄で、若くなかなか活きのいい青年の様子である。
本号は、各人の作品に加えて、海程福井支部のために尽力されたのであろう二人の先輩の追悼エッセイが寄せられている。亡くなられたのは永井幸、小林一村(前福井支部長)の両名。両名とも俳句への志とともに仲間の皆さんによく慕われていた雰囲気である。
以下に同号から一人一句を・・・。

   折鶴の触れるところは未だこの世       小林一村
   直角にきてあとは自由な春一番        永井 幸

   (よし)葦(あし)と牛蛙鳴く刈られゆく  金子兜太
   色褪せぬ日本の空凧             石田秋桜
   励ましの何時か消えゆく実南天      岩堀喜代子
   初山河いま欲しきもの原始の火       小山紫門
   一灯を残し夜長の息を吐く        久保ふみ子
   身のどこか減速している晩夏かな      齋藤一湖
   とうめいな鳥来て夜を泳いで行った     佐孝石画
   剥き出しの心臓である冬の汽車       中内亮玄
   雪原の起伏は神の鞍だろう         西又利子
   菜種梅雨田の面の水を唄わせる       春木美智子
   水涸るるところに来たり狐道         水上啓治
   ものの芽の庭中を夢見始める        森内定子
   ときもきも多少あります花水木        山田冨裕
   思い出の作り話や酔芙蓉          吉田透思朗 



                 コブシ↑

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