2020年9月24日木曜日

渡辺信子「闇の貨車脳内鉄橋わたり行く」(第17回・ことごと句会)・・・



 第17回・ことごと句会(金田一剛名付けて切手句会・9月19日)、雑詠3句と兼題「幹」1句。今回は、愚生が今夏、府中市生涯学習センター俳句入門講座 での生徒・渡辺信子のデビュー戦だったが、ビギナーズラックというには、緻密な句づくりで、すべての句が開かれた。見事最高点を獲得、しかも2名の特選(2点)を集めていた。たぶん、照井三余と同世代であるが、詩神は若い。ともあれ、以下に一人一句を挙げておこう。


   迷い子の心地一夜の虫すだく       渡邉樹音

   昨日まで土塊(つちくれ)だった彼岸花  金田一剛

   幹枯れて枝葉繁れる秋彼岸        武藤 幹

   月よりの使者乗る風の胸に来る      渡辺信子

   指先で秋風をひとつまみ拾う       照井三余

   三次会幹事の舌のこぼれ萩        江良純雄

   幹という幹に影あり百日紅        大井恒行



★閑話休題・・・梅木俊平「一人来て日傘をたたむ爆心地」(第51回原爆忌東京俳句大会作品集より、東京都知事賞)・・・

 応募総数1026句から、各賞が選ばれ、本来ならば、原爆忌東京大会として、8月16日(日)に、北とぴあで行われるはずであった大会と記念講演・能島龍三「戦争のリアルを見詰めて」は、中止になった。選者は43人、愚生が特選に選んだ句は、


   広島のがらんどうなる施餓鬼かな     片山一行


であった。ともあれ、以下に各賞を記しておこう。


  いない人ばかりの写真ひろしま忌   三浦二三子(現代俳句協会賞)

  あじさいの海の昏さよ兵の墓      飯田史郎(第五福竜丸平和協会賞)

  原爆忌どの子も空を青く書く      神 春雷(東友会賞)

  非常階段降りても降りても爆心地    粥川青猿(東京新聞賞)

  人間に影あるかぎり八月来      石原百合子(新俳句人連盟)

  噴水の直立不動戦あるな        波切虹平(口語俳句協会賞)

  八月黙祷いのちあるものマスクして  田中千恵子(平和を愛する俳人懇話会)

  ひろしまの日を花束のように抱く   渡辺をさむ(全国俳誌協会)  



         芽夢野うのき「藤棚にふいに鳥来る帰り花」↑

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