2021年4月25日日曜日

阿部鬼九男「寂滅に甚だ近きさるのこしかけ」(『黄山房日乗』四月二十五日)・・・

 


                 1986年4月25日↑


二十五日、「騎」Ⅴ号着。安井浩司、埴谷雄高の世界を解き、夏石番矢と拙句集を評する。埴谷対談集通読中の暗号。

埴谷に〈念速〉のことばあり。最近、当方から安井へも二度の電波のことあつたやうで、〈意識〉に就き思ひ巡らす。


     寂滅に甚だ近きさるのこしかけ   阿部鬼九男


*『黄山房日乗』へ35年後の剽窃譚・・・


         4月25日(日)・・・曇


 「騎」第Ⅴ号(1986・3)には、安井浩司「最後の審判に向かって—ふたつの句集ー」が掲載されている。夏石番矢『メトロポリティック』(牧羊社)と阿部鬼九男『夏至殺法』(端渓社)である。その末尾に安井浩司は「(前略)俳句の世界に『ヴィジョン』にも似た思いがけぬ世界図を組織してくれるのではないか。それは冒頭にも述べた埴谷の漆黒の『時空』と、最後の照応を遂げてくれるかも知れない。阿部鬼九男は、誰よりもその車軸の近くにいると思う。昼の月皆扉(と)を閉ざし来るものを漂母はやふるさとを鐘渡りける馬光る闇もて以南に叶べし  鬼九男」と記している。

 今朝、小野市教育委員会から第13回・小野市詩歌文学賞受賞者の便りが届いた。

 受賞者は、短歌・島田修三『秋隣小曲集』と俳句・大石悦子『百囀』である。なお、6月5日(土)に予定されていた「第十三回小野市詩歌文学賞・第三十二回上田三四二記念『小野市短歌フォーラム』」の開催は、新型コロナウィルス感染拡大のため中止だそうである。


     こしかけるあれ一飯の漂母かな    大井恒行



   撮影・芽夢野うのき「こでまりの群れをはなれた鞠ひとつ」↑

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