2014年9月9日火曜日
小宅容義「小鳥来る小鳥来ている間にも」・・・
去る5月17日、鬼籍に入った小宅容義句集『尺寸』(ウエップ)が刊行された。大崎紀夫「あとがき」によると、句集名『尺寸』のみは決まっていたという。奥附けの前ページには36名の句集『尺寸』刊行協力者の名がある。その中の一人、鈴木一行が懇切な跋文を書いている。それによると小宅容義の二十歳の作品(昭和19年)が記されている。句は、
雨さびしければ榾火をいたはれり 容義
その青春の初々しさを讃えている。
愚生が最初に小宅作品に接したのは句集『火男』(深夜叢書社)だったと思う。25,6年は前のことだろうか。その頃の深夜叢書社から出る句集、例えば、火渡周平や八田木枯などマイナーながら、魅力的な句集を出していたので、『火男』も書店で見るとすぐに買ったのだと思う。
後に愚生が現代俳句協会員になった頃、小宅容義は副会長だった。彼の店「ひょっとこ」に誰かに連れて行かれ、そこで波多野爽波に初めて会った。
ともあれ、小宅容義の訃がもたらされてから、日月を経ずに句集が刊行されるなど、人望もあったにちがいない。
そのお別れの会が来る9月21日(日)に行われるようだ。冥福を祈りたい。
ふりむけば後ろも雨や石蕗の花
元日のさざなみ我をちゃちゃくちゃに
山は陽を障子は山を消しにけり
銀杏降る辺り暮れ放題に暮れ
小鳥来る小鳥来ている間にも
象の鼻ときどき春の埃吹く
マルバルコウ↑
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