豊里友行第3句集『宇宙の音符』(沖縄書房)、本句集には、すべての句、「あとがき」などにも英訳(松本太郎)が付されている。写真家でもあり俳人でもある豊里友行は、その「あとがき」に、
(前略)やはり私は「夢を語りたい。愛を語りたい。基地の島の現実を直視し、それを乗り超えていく創造力の翼を広げ、自己表現をしていきたい。」と謳ったあの頃のままだ。
私にとっての俳句と写真の二足の草鞋は、どちらも欠かすことのできない生きる杖だった。(中略)
俳句は楽しい。
写真は楽しい。
(中略)
私にとって俳句と写真は、より良く生きる糧となる。
俳句の創造力の翼は、ついに宇宙の未知の領域に飛翔する。
私は、沖縄への愛を宇宙のラブレターで奏でるように句集に綴った。
とあった。ともあれ、集中より愚生好みに偏するがいくつかの句を挙げておきたい。
ただ、ひとつ気になったことは、句のフレーズがどこかで見たフレーズと重なって読める句が幾つかあったことだ。これは、彼が、誰にも似ることなく一句を佇立させるために、彼の句に、さらなる飛躍を望むならば、捨てなければならない部分だろう。楽しくはなくとも・・・。
蒲公英の湯船の大地が点火する 友行
月も踊れ(モーレ)
花も踊れ(モーレ) 宇宙の音符よ
月も踊れ(オーレ)
文庫本天道虫もエキストラ
とことこ歩いては立夏の手拍子
終戦はまだよさざなみのまらそん
島丸ごと宇宙の弦の花ゆうな
*ゆうな=沖縄口の呼び名でオオハマボウ
台所ぴかぴか母の孤島です
あめんぼが踊る超合金の水
還れない遺品が語る光る風
豊里友行(とよざと・ともゆき) 1976年、沖縄県生まれ。
芽夢野うのき「不覚にもすすきかるかやくたれたる」↑
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