2014年6月24日火曜日
星野高士「帯解の台詞の如き御挨拶」・・・
星野高士第五句集『残響』(深夜叢書社)は「あとがき」によると「玉藻」一千号記念、また、「玉藻」新主宰に就任するにあたっての記念出版という。発行日は「立子忌」の三月三日。高士主宰と同時に母・椿はm栄誉主宰に・・。さまざまのこだわりを持ち、実現しての第五句集『残響』の刊行ということになるらしい。めでたい因縁というべきで、まずは寿ぎたい。
その記念の会が「玉藻一千号祝賀会」として今週28日(土)に行われることになっている。
愚生の高士俳句に関する印象でいうのは、はななだ申し訳ないが、第三句集『無尽蔵』で化けたという風に思っている。が、これはあくまで印象であるので、緻密に考察したわけではない。
花冷のぶつかり合ひし闇と闇 高士
句集『残響』の特徴は何と言っても、その句の配し方である。
現在の句集における句の配列は、そのほとんどが春夏秋冬・四季別に配されているのだが、『残響』は違っている。あえて言えばキーワードによって区分されているということである(もちろん、季節の循環は考慮されているようだ・・・)。
従って章立ては二章ながら、その目次の題には、それぞれの句の言葉が配されているのだ。
例えば、第一の章は「冬の闇」「梟」「初箒」と続き、それぞれのタイトルに5~10句程度が収められている。最後は「雑詠」というのも興味をひかれる。
勝手な推測だが、句の新の追求と同時に形式的にも、具体的に句の編集方法を通じて、継承のみならず、変革の志をうかがうことができる。それが虚子一族の隠されていた俳句への志と通じている何かなのかもしれない。
いくつか句を挙げて祝したい(下段に収載されているタイトルを付す)。
分厚さを均してをりぬ冬の闇 「冬の闇」
真の闇あればどこかに梟も 「梟」
引鶴のひとかたまりにゐて疎ら 「引鶴」
枯蓮の向ふの雑木林かな 「初時雨」
すかんぽを抜いては風にうづくまり 「開帳」
街白夜少年つける煙草の火 「白夜」
帯解の台詞の如き御挨拶 「帯解」
春泥の道にも平なるところ 「捨頭巾」
早春や港の船は多国籍 「雑詠」
クチナシ↑
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