2015年8月28日金曜日

宮坂静生「柞(いす)の木に笛吹童子籠るてふ」(『草泊』)・・・



宮坂静生句集『草泊』(本阿弥書店)は2013年の一日一句の俳日記である。
二年前の本日、つまり8月28日の句が掲出の句なのだ。すべてに前書が付されている。ちなみに掲出の句の前書きは「八月二十八日(水) 『樗堂と一茶』稿まとめる。西川徹郎より大冊二冊」とある。
現代俳句協会会長の要職にあって、全国を飛び歩いている様子が如実にわかる。また、句会の出席も多く、一日に二回、三回というのもある。
愚生よりほぼ一世代上の60年安保世代だからだろう。例えば次のような場面にも出くわす。

    一月五日(土) 「一九八九年の丸山真男」(「すばる」二月号)を読む。
 人間を襤褸となすな読始め

ああ、丸山真男に影響を受けた世代なんだな、と思う。愚生などの70年安保世代は吉本隆明か埴谷雄高というところだろう。また、5月25日(土)の「岳」創刊三十五周年記念大会には愚生も出席している。それには、
  
    五月二十五日(土) 「岳」創刊三十五周年記念大会軽井沢。三次会まで。
 夜叉五倍子(やしゃぶし)の滴り集ふ火山麓

とあった。愚生好みのいくつかを以下に挙げておこう。

    六月二十日(木) 帰松。ふと葉山在、晩年の女優のことを。
 杉村春子西日の戦後忘れきし

    七月一日(月) 高岡修の案内で薩摩半島長崎鼻まで。
  知覧まで草みちをゆく七月は

    八月十五日(木) 兄弟たち盆見舞いに来る。
  敗戦夜闇いきいきと大櫟

    十二月七日(土) 長野へ。マンデラさん(南アフリカ元大統領)の死
  アフリカの大地が捧ぐ冬茜




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