2017年6月12日月曜日

谷佳紀「木枯しの空真っ青なんだ厚木基地」(「碧」第9集)・・



 「碧」第9集(海程神奈川合同句集2017)、谷佳紀からの恵送である。「海程」は各地方や各県、地区ごとの合同句集がよく発行されている。それだけ、各々の地域に組織とそれを維持できる力、エネルギーを宿しているのだろう。その「海程」も金子兜太が来年白寿を迎えて、終刊すると報じられている。
 谷佳紀に最初に会ったのは、多賀芳子宅で行われていた「碧(みどり)の会」の句会だった。海程神奈川支部と同じ「碧」である。碧の会は、句会だけでなく、その時々の注目の句集が出ると、その句集の合評会が行われていた。筑紫磐井や鳴戸奈菜の句集合評会も行われた。渋谷のオニババと呼ばれていたが、それは俳句に対する熱心さと愛が吐き出させる厳しい批評の声だったのだ。
 その会で、原満三寿や小泉飛鳥雄、渋川京子、川名つぎお、中西ひろ美、早瀬恵子、妹尾健太郎、中田世禰、谷山花猿、森田禄郎などに出会った。
 谷佳紀は、「海程」が同人誌から結社になったときに一度「海程」を辞めた。その後は「ゴリラ」という雑誌に拠り、のちに個人誌「白」をだした(ある時、兜太に会ったとたんに海程に復帰した)。そして、昔からウルトラマラソンをやっていた。今号のエッセイには、そのウルトラマラソンのベテランともいうべき谷佳紀が筋肉率と肥満度が低く体脂肪率が高い、評価は寝たきりになるリスクが高い最低の三級だったというから、数値もあてにならないものだ。加えて、ウルトラマラソンの参加費の値上がりが激しく百キロで一万円ほどだったのに、今では一万八千円が当たり前だと、ブーム到来を嘆いている。
ともあれ、30数名の全員の句とはいかないが、何名かの一人一句を以下に挙げておきたい。

   貨車番号トラ五〇六九炎天       伊藤道郎
   負け独楽を抱いて少年老い易し     木村和彦
   水鳴りや日越えの蝶の数知れず     九堂夜想
   アキアカネときどき開く店であり    黒岡洋子
   タスマニアンデビル激減ジャカランダ美し 島崎道子
   辛い言葉を梅吸うように白さかな    谷 佳紀
   夏灯金泥さらに吹き零す        佃 悦夫
   三月の雲の沖ゆく赤ん坊        津波古江津
   母歩く全霊のときまんさくも      森田緑郎



   
    

  

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