2017年6月4日日曜日

日野百草「玉砕の島より鷲の羽ばたけり」(「俳誌展望」第175号)・・・



「俳誌展望」第175号(全国俳誌協会機関誌・会長 秋尾敏)は第一回全国俳誌協会協会賞・新人賞の発表記事である。協会賞に日野百草、奨励賞に山口明(選考委員は大牧広・高野ムツオ・秋尾敏・佐怒賀正美・能村研三)、新人賞は該当なしだが、能村研三奨励賞・松尾清隆、佐怒賀正美奨励賞に石川ゆめが受賞している(選考委員は秋尾敏・能村研三・佐怒賀正美)。以下に一人一句を紹介する。

  出稼ぎの父春泥を押し戻す     日野百草(昭和47年、千葉県生)
  生業の冬旨みあろうとなかろうと  山口 明(昭和22年、吉川市生)
  河骨のめぐり夜空のやうに水    松尾清隆(昭和52年、神奈川県生)
  老婦人笹舟に無邪気をのせている  石川ゆめ(昭和56年生)

因みに、第23回全国俳句コンクール協会賞は、

  日向ぼこ吾を忘れし母を抱く    奥村利夫

であった。




*閑話休題・・・

『「引用」ってなに 著作権Q&A Ⅱ』2017年5月版(日本文藝家協会)の冊子のコラムに篠弘(歌人・日本文藝家協会副理事長)が「俳句や短歌、詩歌の引用について」と題して、冒頭に以下のように記している。

  よく短歌・俳句の月刊誌の「表紙裏」に、近刊紹介として数首・数句が、全くのコメント無しで載る習慣があります。また。近刊諸誌から数人の話題作などが、単に抽出されることもありますが、これらのことは、止めるべきだと思います。

たぶん、多くの俳人は、とにかく自分の句がのれば名誉なことだと思って、ゆるしている習慣があるが、なかに著作権にうるさい御仁がいて、勝手に無断で引用掲載されるのは不都合だと訴えられたら厳密な法律的解釈のもとではダメなのかも知れない。
 とはいえ、篠弘が述べている以上に、多くの結社誌においては、主宰の作品がどの雑誌に掲載されたとか、その転載文まで無断で行われているようだ。お互い褒めあおうという気分の蔓延がそうさせているのだろうが、ほとんど宣伝・顕示欲のかたまりのようで少しうんざりすることもないではない。ただ、読者としては、いちいち見なければいいだけのことだ。ただ、著作権を管理する側としてはそれは困る出来事になるのだろう。



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