2014年8月8日金曜日

「豈」56号ようやく出来・・・



いつものこととはいえ、「俳句空間ー」56号がようやく出来てきた(購読の申し込みは邑書林へ・・)。
表紙絵は、故・風倉匠のデカルコマニーを夫人の好意もあって、ずっと使わせてもらっている。深謝。今号もまた20名近い外部の方からの寄稿をいただいた。感謝することしきりである。
ともあれ、以下に冒頭の作品のみで恐縮だが、一人一句を挙げておきたい。

     清き故迷ふ白鳥黄泉平坂          花尻万博
     わだつみの母郷つらつら椿かな      恩田侑布子
     紅梅と赤子のおしり見較べる        金原まさ子
     忘却は剖きぬる頭の睡蓮(ロチュス)より  小津夜景
     たくさんの鳥の群よわむしのわたしたち   鈴木瑞恵
     松籟を夜伽のころと思いけり         曾根 毅
     海中(わだなか)にダイオウイカや春の星  冨田拓也
     双眸に未踏の噴水がありぬ         青山茂根
     月光の柱テーマに揺るぎなし         秋元 倫
     山頂へ続く黙あり岩煙草           飯田冬眞
     大なり小なり我らにハート春告鳥      池田澄子
     春風の手の鳴る方へ深ねむり       丑丸敬史
     風のいろ火のいろなべて立木の色      大井恒行
     雑密を鉢植えすれば砂時計ささくれて    大橋愛由等
     奇(くす)けきひかりよカップラーメンのエビよ 大本義幸
     風花のあってはならぬ写経には        岡村知昭
     春寒の伊勢佐木町のへび屋かな       鹿又英一
     瓶の蓋なかなか開かぬ近松忌        神谷 波
     月満ちて来る赤子の黄金の腕        神山姫余
     体内模型のビル街吹きさらし         川名つぎお
     カタクリの花に届くや村太鼓          北川美美
     妄信の梵か偽魔女の一撃か         北野元生
     蜂生れる景色睨んで逆さまに        北村虻曳 
     理想都市 まつすぐ伸びる腕と道       倉阪鬼一郎
     立春や川の話をはじめよう           小池正博
     フェラガモの靴履く男道をしへ         小湊こぎく
     青梅雨窓よりひかり板の間に         小山森生
     帚木や真昼の星を集めたる          五島高資
     オールトの雲渺々と漱石忌           堺谷真人
     からすうり伊吹山からさざれ石         坂間恒子
     鬼は外家中がでこぼこする          杉本青三郎
     
     ねぶのはな
     たがよ
     たがよ 
     とりかへこ                   鈴木純一
 
     見の中に明るきところ裕明忌       関 悦史
     春の空見てと始まる友の遺書       関根かな  
     入梅の空の果てまで行きたき日      妹尾 健
     兇火の中なる擬卵あたためし        高橋修宏
     絵本魔術師つがるからつゆいり      高橋比呂子
     夏蝶の焦点があるもらいにゆく       津のだとも子
     はるともし孔雀なきゐるやうきえり     夏木 久
     C面の夏が漂っている海          成宮 颯
     見上げれば顔・貌・かお・カオ・紅葉山  萩山栄一
     鬱陶しい立つこと春が冷えている     橋本 直
     波羅蜜は縁なしいざや昼寝せむ     秦 夕美
     お降りの畏くもこの世でこぼこ      羽村美和子
     「椿榎楸柊」-俳ー秋津島        早瀬恵子
     バルコニーから虫をばらまく花婿だ   樋口由紀子
     北里に幾年月の花菜雨          福田葉子
     此処彼処亜細亜悪霊産卵期       藤田踏青
     軽羅着て三囲神社ぬけて行く      藤原龍一郎
     芍薬にかくまいしままあさき夢      堀本 吟
     春の闇常世の妣がものを曳く      真矢ひろみ
     白猫に飼われし一家布衣(ふい)の人  森川麗子
     三鬼の忌計量カップで呑んでいる    森須 蘭
     そぞろかな加茂の春月青々と      山上康子
     フクシマの春泥宮城(きゅう)の春泥   山﨑十生
     松林(しょうりん)に魚の骨しらしらと   山村 嚝
     空豆の方言を水位している       山本敏倖
     そうめんぞするり解けて「神の数式」  わたなべ柊
     砂糖宿舎(さたやどい)湯気もおぼろの船ランプ  亘 余世夫  

ちなみに、特集は「攝津幸彦以降の『豈』」、新撰世代の「豈」論。


        

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