2016年11月21日月曜日

池田澄子「枯れるべきもの枯れきりぬ日の恵み」(「俳句界」12月号)・・



「俳句界」12月号(25日発売予定・文學の森)が「女性俳句ぬきに現代俳句は語れない!」を特集している。メインの対談は池田澄子と大木あまり。「現在、もっとも注目される女性俳人の」とリードにあったのでそうなのかなとも思う。大木あまり「寒ければ酒(ささ)召し上がれ陰の神」は
言う。

 芸術家は不幸なのが当たり前だと思っていた。そして表現者は栄光の一番遠いところにいるものだと思うの。

ということは、裏返してみると、いわゆる俳壇の現状はどうもそうでもなく、皆さん幸福の唄を歌っているということだろうか。俳句の神に愛されるためにはそうした志で俳句に向かわなければだめです、ということかも知れない。

呼応して池田澄子は、

どうして句集を作るかと考えると、ひょっとしたら百年後の人が読んでくれるかもしれない、と思って作るのね。今、どういう風にみられたいとか、誉められたいとかそういうことは考えない。

現世的な愚生などはとうてい及ぶべくもない境地だ。ところでアンケートが鎌倉佐弓・櫂未知子、対馬康子、鳥居真里子、奥坂まや、照井翠、辻桃子の7人が回答しているが、こちらは覗き見趣味のある愚生にはけっこう面白かった。だいたいが師系につながる俳人を挙げているが、①「故人で影響を受けた女性俳人」について(回答者のメンバー次第によるとも思われるが)、飯島晴子が櫂未知子、鳥居真里子、奥坂まやの三名に選ばれ、さらに③「若手で注目している俳人」に田中亜美が二名に、それも重なって、鳥居真里子と奥坂まやが挙げている確率の高さ?に興味を覚えた。
その他、今月号には「豈」同人でもある山本敏倖「霊域のからめてに入る大むらさき」がセレクション結社「山河」としてグラビアに登場している。最後に「新作巻頭3句」から、これも「豈」同人の高山れおなの句を挙げておこう。

     寒卵鬱々と生み生まれたり       高山れおな

高山れおな、1968年生まれ、愚生が大学一回生の頃に生まれたのだ。


☆閑話休題

 本誌「文學の森俳句教室」の告知に、「約15年間続いてきました『文學の森俳句教室』は、10月をもってしばらく休会します。小社代表の姜琪東の健康が回復しましたら再会いたします」とあった。今月号の編集後記をみるかぎり、「小誌の取り扱い書店が11月号から約100店増えました」と、多くの雑誌が衰退していくなかで、まだまだ意気軒高の様子だから心配ないと思うが、俳句総合誌の企画などが画一化されて、瀕死のなかで、よく奮闘しているのは、彼の激しいエネルギーを淵源にしていると思われる。まだクタバルには10年早いぜ!是非、本復して流れに竿さしてほしい。西川徹郎、加藤郁乎、安井浩司など、まさに俳壇が敬して遠ざけてきた俳句の巨人たちを特集してきた唯一の現役総合俳誌なのだから・・・



                ナンテン↑

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